冬場に多い悩みの一つが、暖房にかかる電気代です。温度を上下させる電気器具は他の電化製品、たとえばテレビやパソコンに比べて格段に電力を必要とします。ただし状況に応じて暖房器具を上手に使い分ければ、電気代を節約することは十分に可能です。
状況に応じて暖房を使い分けよう
外出先から自宅に戻ってくると、何はともあれエアコンをつけるという人は多いようです。留守中に冷たくなった部屋を暖めようとすると、部屋全体に温風が回るエアコンをまず動かしたくなるのは無理もないのですが、状況によっては電力の無駄使いになってしまいます。
エアコンは設定温度に上がるまでが一番電力を使います。したがって短時間でまた出かけなくてはならないような場合、部屋が暖まったと思ったらもうエアコンの電源を切ることになります。そして再度帰宅した際にはまた始めから部屋を暖め直すわけですから、とても効率がいいとは言えません。
一方電気ストーブは短時間で暖かくなりますが、小さい部屋や足元など限定された空間でこそ威力を発揮します。エアコンのように広い空間全体を暖めるのには向いていないので、冷えきった部屋を電気ストーブで暖めようとするのは、やはり非効率的です。
どんな場所をどれくらいの時間暖かくしたいのかを考えた上で、それに見合った暖房器具を利用すること、それが消費電力を低く抑えながら暖かく快適に過ごすための秘訣です。
部屋全体を暖めたい場合は?
部屋全体を暖めようとするなら、一番効率的なのはやはりエアコンです。天井に高い位置に取り付けられていて、温風を出すことで暖かい空気を循環させるメカニズムになっているため、広い空間を暖めるのに向いています。
設定温度に上がるまではかなり電力を使いますが、一度上がってしまえば消費する電力量が一気に少なくなります。そのためある程度まとまった時間在宅するなら、エアコンを使用するのが最も適していると言えるでしょう。逆に言うと、短時間外出するだけですぐに帰ってくる予定の時は、つけっぱなしで出かけた方が効率的なわけです。
また、消費電力を抑えるためには自動運転にセットすることがおすすめです。弱運転のほうがお得のように思えるかもしれませんが、弱運転だと設定温度に達するまでの時間が長くかかり、その分消費電力量が大きくなります。自動運転にしておけば、電力を多く使う設定温度に達するまでは強風、設定温度に達した後は微風と、風量などを自動的に調節して設定温度を保ち続けてくれます。
更にサーキュレーターで部屋の空気をかき混ぜたり加湿器で湿度を上げて体感温度を高くしたりすることも大切です。他にも、フィルターや室外機を掃除してエアコンが十二分に動くようにすることや、窓から冷気が入って部屋の温度が下がるのを防ぐなどの細やかな気配りも節電に繋がります。
身体だけを暖めたい場合のおすすめは?
身体のみを暖めたい場合におすすめなのが電気毛布です。電気毛布は化学繊維の生地の間にビニールで覆われた紐状のチュービングヒーターを組み込んだもので、ヒーターに電気を通すことで熱を発生させる仕組みになっています。身体に密着した状態で使用するので広い空間を暖める時のような電力は必要ありません。また毛布で身体を覆うため熱が体表部分に留まって外にはほとんど放散しないので、40W程度のごく低い電力でしっかり暖まることができます。
温度はだいたい20度から50度ほどまで調節が可能です。50度まで熱くなるうえ身体に直接触れているとなると低温やけどが心配になりますが、自分で温度を調整できるコントローラーの他にサーモスタットでも毛布の温度をコントロールしているので、やけどするほど熱くなる危険はまずないでしょう。
また、電気毛布と原理が近い暖房がこたつです。こちらは内部が暖まるまでは500Wから600Wの電力を消費しますが、一度暖まれば厚い布団が熱を内側に閉じ込めるので弱運転であれば100W前後、強運転であれば200W~300W程度の消費電力で済みます。電気毛布と同じく電気代を安く抑えられるのが大きなメリットです。
対照的に電気代がかかるのがホットカーペットです。電熱線に電気を流して暖める、直接身体を暖めるなどメカニズムとしては電気毛布とよく似ています。しかし、電気毛布やこたつのように身体の周囲を囲い込んで熱を内に溜めるのでなく、平面状になっているため身体が接していない部分は熱を空中に放散してしまうのです。そのため消費電力が多くなり、一畳サイズででだいたい230W、三畳分なら700Wほどの電力が必要で電気代が多くかかります。(※定格消費電力での記載のため、運転の状況によってもう少し抑えられます)。もっともこれは断熱シートを敷いて熱を逃がさないよう工夫したり、必要最小限のサイズのものを使ったりすることでかなり軽減できます。
短時間だけ暖まりたい場合は電気ストーブ
短時間だけすぐに暖まろうとする場合は電気ストーブが効率的です。電気ストーブはハロゲンヒーターとカーボンヒーターの2種類があります。その名の通り発熱体がハロゲン素材なのがハロゲンヒーター、カーボン素材なのがカーボンヒーターです。普及度ではハロゲンヒーターの方がずっと上ですが、カーボンヒーターが発する赤外線はハロゲンヒーターの2倍で、その分暖め効果も倍に近くなっています。値段はハロゲンヒーターより高くその分初期投資が多くかかりますが、効率良く暖を取れるので長い目で見れば電気代が節約できる分こちらの方が安上がりです。
ただし短時間で狭いスペースを暖めるには良いですが、広い場所を暖めることにかけてはエアコンの方が有利ですエアコンの効率性は稼働前の部屋の状況に大きく左右されます。室温が設定温度よりかなり低い場合はファンやコンプレッサーがフル稼働する必要があるので、その分電力を消費することになります。それを勘案しても、長時間暖房を使用するのならやはりエアコンが最も電気代が安く使い勝手がよいと言えるでしょう。
電力会社の切り替えでさらにお得に
電気器具をその特性に合わせて上手く使いこなすことの他に、電気料金の節約を期待できるのが電力会社を切り替えることです。各電力会社がさまざまな契約プランを用意しているので、自分の電力消費スタイルに合ったものを選べば、より電気料金を安く抑えることができるはずです。
電気の比較インズウェブでは、毎月届く「電気ご使用量のお知らせ」(検針票)の記載情報から、各社のプランの中からお得になるものを簡単に比較することができます。電力会社を変えることも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。