オフィスは一般家庭よりも多くの電気を消費するため、節電を意識して行動すれば大きな節約効果が期待できます。経費削減のためにも、効果的な節電方法を知っておくことが大切です。とはいえ、どのようにすれば良いのかよく分からない人も多いでしょう。そこで、ここでは、オフィスの電気代を節約する方法を詳しく解説します。
目次
オフィスで一番エネルギーを消費しているものは何?
オフィスの電気代を削減し電気代コストを抑えたいと考えた時、まずは、何に一番エネルギーを消費しているのかを知る事で節電の方法を見つける事ができます。ここでは、財団法人/省エネルギーセンターが発表しているオフィスのエネルギー消費の特徴を紹介します。
オフィスビルの用途別エネルギー消費
下の表は、財団法人/省エネルギーセンターが公表しているレンタブル費(賃貸面積比)60%以上のテナントビルのエネルギー消費構造の分類と消費割合になります。参考にしてみましょう。
エネルギー消費構造
エネルギー用途区分 | 主なエネルギー消費機器 | |
---|---|---|
項目 | 細目 | |
熱源 | 熱源本体 | 冷凍機、冷温水機、ボイラ、他 |
補助動力 | 冷却水ポンプ、冷却塔、冷却水1次ポンプ、他 | |
熱搬送 | 水搬送 | 冷温水2次ポンプ |
空気搬送 | 空調機、ファンコイルユニット、他 | |
給湯 | 熱源本体 | ボイラ、循環ポンプ、電気温水器、他 |
照明・ コンセント |
照明 | 照明器具 |
コンセント | 事務機器、他 | |
動力 | 換気 | 駐車場ファン、他 |
給排水 | 揚水ポンプ、他 | |
昇降機 | エレベータ、エスカレータ、他 | |
その他 | その他 | トランス損失、店舗動力、他 |
エネルギー消費構造割合
熱源 | 熱搬送 | 給湯 | 照明・コンセント | 動力 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
31.1% | 12.0% | 0.8% | 42.4% | 8.6% | 5.1% |
部門別エネルギー消費割合
オフィス専有 | 共用部 | 駐車場 | オフィス共用 | 飲食店舗 | 物販店舗 | 飲食共用 |
---|---|---|---|---|---|---|
60.2% | 23.2% | 6.8% | 6.4% | 2.7% | 0.4% | 0.3% |
オフィスの専有部分の消費割合
(上記オフィス専有60.2%の内訳)
照明 | コンセント | 空調 |
---|---|---|
40% | 32% | 28% |
(資料:財団法人/省エネルギーセンター_オフィスビルの省エネルギー)
オフィスビルではオフィス専用部分の消費電力割合が大きく、その中でも照明機器の消費割合が一番大きいという結果になっています。
オフィスの電気代を節約する方法4選!
ここでは、オフィスの電気代を節約する効果的な方法を4つ紹介します。
1.照明をLEDにする
オフィスの照明を蛍光灯からLEDに交換すると、大幅な消費電力の削減が期待できます。この方法でネックとなるのは、LEDが高額なため初期費用がかかってしまう点です。しかし、LEDはランニングコストが低く長持ちします。LEDはかなり長持ちするため、電球を交換する手間や交換によってかかるコストを軽減することもできます。最近では、LED照明の低価格化も進んでいます。また、法人向けのサービスで初期導入費用をかけずにレンタルでLED照明に交換できるという会社も登場しています。政府の方針もあり、今後は白熱灯や蛍光灯の製造、輸入は減少していく見込みです。そうした面から見ても、早めにLEDに交換してしまうと良いでしょう。
2.空調設備の設定温度を変える
簡単に導入できる方法として、空調設備の設定温度を変えるというものがあります。室温の目安は夏が28度、冬が20度です。それに合わせて空調設備の温度調節を行うようにしましょう。空調設備の設定温度が1度違うだけで、消費される電力量に大きな違いが出るといわれています。夏の冷房の設定温度を1度高くすると約13%、冬の暖房の設定温度を1度低くすると約10%の消費電力の削減になるといわれています。温度設定を見直して調整しましょう。なお、空調設備がもっとも電気代を消費するのは、スイッチを入れてから部屋が設定温度に達するまでの間です。いったん設定温度に達すれば、以後はそれほど多くの電気を消費せずに室温を一定に保つことができます。
そこで、節電効果を高めるためには扇風機やサーキュレーターを併用すると良いでしょう。夏は空調設備で冷えた空気を、冬は暖まった空気を室内に循環させることができ、室内の温度を設定温度に到達するまでの時間を短縮できます。扇風機を使うと書類を飛ばしてしまうというときは、サーキュレーターの使用が向いているでしょう。また、空調設備のフィルターをこまめに掃除することも有効です。これは、空調設備のフィルターがほこりなどで目詰まりしていると冷暖房の効率が下がるためです。なるべく2週間に1度のペースを目安として、フィルターの清掃を行いましょう。
社員にも経費削減の必要性を説明して意識の徹底をはかり、服装で調節してもらうなど協力を得ることも重要です。冷房時は軽装、ノーネクタイや暖房時には重ね着を行うなどを推奨し冷房や暖房に頼りすぎないオフィス環境を整えましょう。
空調の設定温度
環境省では地球温暖化対策やオフィスで快適に過ごすライフスタイル「クールビズ」「ウォームビズ」を提唱しています。冷房時の「クールビズ」では室温が28度、暖房時「ウォームビズ」では室温が20度となるように設定することを目安としています。(一般家庭での推奨温度も同じ)
オフィスでは、夏季や冬季に室内温度が過剰に低く、または高く設定されている場合があります。このような過剰な冷暖房は、CO2排出量の増加を招くとともにオフィスの環境衛生や健康面においてもよい影響とはいえない場合があります。オフィスの設定温度を見直し、社員が快適に過ごせるように環境を整えましょう。
3.就業時間を見直す
就業時間を過ぎて大半の社員が帰宅しても、誰かが遅くまで残って残業していれば照明をつけたり空調を稼働させたりしなければなりません。少人数のために電気を使うのは非効率です。残業があまりに多ければ、働く社員の健康まで損ねかねないという大きなデメリットもあります。そこで、業務を効率化させてなるべく残業をなくすようにしましょう。節電できるだけでなく社員の健康維持も期待でき、政府が推奨する働き方改革にも調和します。
夏場は早い時間から明るくなりますので、就業時間を見直して早く開始するのも良いでしょう。外気温が高いと室内の温度を下げるのに大きく電力を消費しますので、温度差の少ない早朝から仕事をすることで節電に結びつきます。ただし、就業時間を見直すのであれば事前に社員に説明し、理解と納得を得てから導入することが大切です。
4.電力会社を切り替える
2016年の電力小売全面自由化により、新規の電力会社が数多く参入し自由に契約できるようになりました。電力会社によって料金プランは大きく異なるため、うまく切り替えられれば電気代の削減が見込めます。オフィスの稼働時間や電力消費量に合わせて最適なプランを選べば、さらに大きな値引きが期待できるでしょう。
高圧の電力を受給しているような大きなオフィスビルにテナントで入居している場合などは電力会社の変更が難しい場合があります。その場合はビル全体の電気料金削減に向けてビルの管理会社などに働きかけるなど行うとよいでしょう。自分の会社で直接、電力会社と契約している場合は電力会社の変更が可能なため、電力会社との契約種別を確認してみましょう。低圧電力での契約であっても高圧電力であっても電力会社を変更することで電気代コストを安く抑えられる可能性があります。どこの電力会社に変更すると一番電気代コストの削減につながるかを確認するには、一括比較サイトなどを利用すると便利です。現状の電気代との比較ができますので利用してみましょう。
■低圧:https://denki.insweb.co.jp/
■高圧:https://denki.insweb.co.jp/houjin
気をつけよう!オフィスを節電するときの注意点
節電することも大切ですが、従業員の生産性を下げないように注意することも必要です。たとえば、節電のためにオフィスの照明を落としたりパソコンの画面を暗くしたりすると、作業がしづらくなり生産性を下げてしまう可能性があります。空調の設定にしても、目安温度にこだわりすぎてオフィスが適切な室温になっていなければ、従業員の健康を損ないかねません。十分に配慮して温度設定するようにしましょう。節電は、安全衛生や従業員の健康に配慮しながら行うことが重要です。
この記事のまとめ
オフィスの節電や電気コスト削減を行うには下記の内容を実践してみましょう。
- 空調の設定温度を適切な温度にする
- 照明をLEDに変更する
- 就業時間を見直す
- 電力会社を変更する
オフィスの電気コストを削減するには、電力会社を切り替えるのがもっとも効果的でスムーズに導入しやすい節電方法といえます。電力会社の見直しをして、経費削減をはかりましょう。