資源エネルギー庁が10月24日に発表した電力小売全面自由化の進捗状況という資料内に地域別の電気料金水準が掲載されていましたので紹介します。出典は各社決算資料、電力取引報等となっていましたが、電力取引報からだけでもだいたいの数字は計算できますので、最新の結果を知りたい場合は計算してみてください。(販売額÷販売電力量)
電気料金単価が一番安いのは北陸地方
2017年6月実績で電気料金単価が一番安かったのは以下の表のとおり北陸地方でした。(大手電力と新電力の平均値)
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
26.0 | 23.5 | 23.1 | 22.1 | 19.9 | 22.4 | 20.3 | 21.6 | 20.7 | 23.5 |
ちなみに、全国平均は22.4円/kWhです。
各地域で電気代の差がでる理由として大きいのは、各社の発電の電源構成の違いです。電気料金単価が安い北陸電力は、発電コストが安い石炭火力(12.3円/kWh)と水力(11.0円/kWh)で9割を占めているのに対して、最も高い北海道電力は石炭火力と水力の合計が56%で、発電コストの高い石油火力(30.6~43.4円/kWh)が25%を占めています。
自由化前との比較
東日本大震災後で電気料金が最も高くなった2014年度との比較も電力小売全面自由化の進捗状況内に記載されていました。自由化前後でどう変化したのでしょうか。
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 | |
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2014年度 | 25.4 | 25.9 | 28.0 | 25.7 | 19.5 | 24.6 | 22.6 | 23.1 | 22.7 | 25.9 |
2017年6月 | 26.0 | 23.5 | 23.1 | 22.1 | 19.9 | 22.4 | 20.3 | 21.6 | 20.7 | 23.5 |
2014年度と2017年6月を比較すると地域による差が小さくなっていることが分かります。料金単価が安い新電力が多く参入した東京電力管内が大きく単価を下げています。ただ、新電力の参入がない沖縄で単価が下がっていることからもわかるように全て自由化が要因というわけではありません。燃料費の変動も大きく影響しています。
単価は安くても電気代は高い!?
北陸地方は電気料金単価が安いということが分かりましたが、月の電気代となると話は別です。単価が安くても電気使用量が多ければ電気代は高くなります。そこで、総務省統計局の家計調査家計収支編より、2017年7月の電気代の額を調べてみました。なぜ7月かというと、6月使用分の電気代を支払うのは7月であるからです。
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 |
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9,051 | 8,578 | 7,900 | 8,553 | 10,062 | 8,699 | 8,178 | 9,118 | 8,557 | 11,430 |
総務省統計局家計調査家計収支編(二人以上の世帯)より
上表のように、電気料金単価が安い北陸地方ですが電気代の支払額は逆に多い部類です。沖縄は冷房需要があるため電気代が高くなっていますが、冬場の暖房にかける電気代が少ないので年間で見ると全国平均より少なくなります。
北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 沖縄 | 全国 |
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10,808 | 11,279 | 9,553 | 10,137 | 12,241 | 10,284 | 9,821 | 11,292 | 9,621 | 9,951 | 10,100 |
総務省統計局家計調査家計収支編(二人以上の世帯)より
北陸地方の電気代が高い理由としては、住宅が広く1世帯当たり人数が多いことがあげられます。総務省統計局平成25年住宅・土地統計調査によると、1住宅当たりの延べ面積の全国平均が94.42㎡であるのに対して富山県が152.18㎡、石川県が130.21㎡、福井県が146.16㎡となっています。また、同調査から計算すると1世帯当たりの世帯人員は全国平均が2.38人であるのに対して、富山県が2.78人、石川県が2.57人、福井県が2.92人です。住宅が広く、世帯人員も多いため、世帯当たりの電気使用量も多くなり、電気代が高くなっていると考えられます。
電気料金単価が安くても電気使用量が多ければ電気代は高くなってしまいます。しかし、電気使用量の削減で目に見えるほどの電気代節約をするには様々な工夫を凝らす必要があります。生活を変えずに電気代を下げるには、料金単価の安い新電力に乗り換える方法があります。新電力に申し込んだ後はただ切り替わるのを待っていればよいだけなのでとっても楽です。まずは電力会社の乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。