電力自由化前は、九州エリアで利用できる電力会社は九州電力のみとなっており、低圧電力の電気利用者は全員契約していました。しかし、2016年の電力小売完全自由化によってさまざまな企業が電力事業に参入してきたため、その対抗策として九州電力も新たなプランを出しています。九州電力の電力プランは電力自由化前と自由化後ではどのように変わったのでしょうか。
電力自由化前の電気プランと解約時の注意点
2016年の電力自由化前、九州電力にはどのような低圧電力の電気プランがあったのかを紹介します。九州電力の電気プランでスタンダードなのは、「従量電灯B」と「従量電灯C」です。「従量電灯A」も電気プランの中にありますが、使用できる最大電流が5A以下となっています。主にアパートの共用灯の電気を使用する場合などに向けられたプランなので、一般的な需要はほとんどありません。「従量電灯B」は使用電力の少ない一般家庭向け、「従量電灯C」は使用電力の多い商店や事務所向けのプランで、どちらも基本料金と電気の使用量に応じた3段階で設定されている電力量料金で毎月の電気代が決まります。従量電灯A・B・Cの電気プランは、電力自由化後も利用できるプランです。
一方で電力自由化に伴い廃止となるプランもあります。廃止となる電気プランは2016年3月31日で新規受付を終了していますが、それ以前から加入している場合には引き続き利用することができます。しかし、いったん解約してしまうと再申し込みができないため、解約を検討しているなら注意が必要です。電気プランを変更したことにより電気代が高くなってしまう事もありますので慎重に検討しましょう。新規加入停止の対象となっているのは下記プランなので、電力会社の変更やプランの変更を考えている人は注意が必要です。
- 季節別電灯
- 時間帯別電灯
- 時間帯別電灯(8時間型)
- ピークシフト電灯
- 深夜電力
- 第2深夜電力
電力自由化後の新たなプラン
九州電力の販売エリアは、電力自由化後も変わらず以前の九州電力管内のみとなっています。「スマートファミリープラン」は、従量電灯Bをベースにしたプランで、10Aから60Aの人が対象です。基本料金は同じですが、従量電灯Bに比べて3段階目の300kWhをこえる電力量料金が1.10円安く設定されています。また、2年契約を継続する事を前提に年間777円の割引が受けられる「2年契約割引」の特典があります。
区分 | 単価 | 料金単価(円/10%税込) | ||
---|---|---|---|---|
従量電灯B | スマートファミリープラン | |||
基本料金 | 10A | 291.60 | 291.60 | |
20A | 583.20 | 583.20 | ||
30A | 874.80 | 874.80 | ||
40A | 1,166.40 | 1,166.40 | ||
50A | 1,458.00 | 1,458.00 | ||
60A | 1,749.00 | 1,749.00 | ||
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 17.46 | 17.46 |
120kWhをこえ300kWhまで | 1kWhにつき | 23.06 | 23.06 | |
300kWhをこえる | 1kWhにつき | 26.06 | 24.96 | |
2年契約割引(年間) | 無 | ▲777.00 |
「スマートビジネスプラン」は、6kVAから50kVA未満の人が対象となります。従量電灯Cでは、電力量料金の設定が3段階になっており、電気を多く使う人は高い電力量料金単価となっていました。スマートビジネスプランの電力量料金単価は、従量電灯Cの120kWhから300kWhの料金単価と同じく23.06円/1kWhで一律に設定されており分かりやすくなっています。
区分 | 単価 | 料金単価(円/10%税込) | ||
---|---|---|---|---|
従量電灯C | スマートビジネスプラン | |||
基本料金 | ひと月1kVAにつき | 297.00 | 297.00 | |
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 17.46 | 23.06 |
120kWhをこえ300kWhまで | 1kWhにつき | 23.06 | 23.06 | |
300kWhをこえる | 1kWhにつき | 26.06 | 23.06 |
「電化でナイト・セレクト」は夜間の電気料金が割安になるプランで、夜間時間帯を3つのパターンから選べることが最大の特徴です。オール電化の家庭や夜間や休日の使用量が多い家庭におすすめのプランです。日中外出している事が多い家庭などでは上手にプランを選択する事でお得に利用できるかもしれません。
また、電力自由化後には新たに「すくすく赤ちゃんプラン」や「IJUターン応援プラン」など、個性的なプランも登場しました。「すくすく赤ちゃんプラン」は3歳未満の子供がいる家庭を対象としており、毎年5月分の料金が10%割引になります。単体では利用できない特殊なプランで、スマートファミリープランなど家庭向けプランに加入していることが条件となっています。「IJUターン応援プラン」は九州外から移住してきた家庭を対象としたプランで、申し込みから1年間5%の割引が適用されるプランです。「IJUターン応援プラン」は「すくすく赤ちゃんプラン」と併用することができますが、5月分は「すくすく赤ちゃんプラン」が優先となり二重の割引はされません。
「すくすく赤ちゃんプラン」は会員サイトからの申し込みとなり、子供の氏名や年齢が分かる書類が必要となります。「IJUターン応援プラン」は住民票の写しやダウンロードした専用の申込書が必要となるため、郵送での申し込みとなります。これら以外の通常の家庭向け電気プランは基本的にインターネットからの申し込みが可能です。支払い方法は「口座振替」「クレジットカード払い」「振込用紙」の中から選ぶことができます。
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九州電力の電力プラン
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電気とガスのセット割でもっとお得に!
電気だけでなく2017年には都市ガスの自由化も始まり、電気とガスのセットプランを出す企業が増加傾向です。九州電力もガス自由化以降に電気とガスのセットプランを出しています。九州電力の「きゅうでんガス」のガスプランは九州電力の電気プランとセットでのみ契約できるガス料金プランです。
対象となるセットプランには、「スマートファミリープラン[ガスセット]」と「スマートビジネスプラン[ガスセット]」があります。契約すると九州電力の会員サイト「キレイライフプラス」でガスの使用量に関係なく、電気契約に毎月2ピコ(ポイント)プラスとなるサービスがあります。月々の電気の契約電流(アンペア)や契約容量およびガスの使用量に応じたセット契約割引も適用されるためお得に利用できる可能性があります。契約可能なエリアは福岡県の西部ガス供給区域で都市ガスの利用者です。
会員サービス「キレイライフプラス」
「キレイライフプラス」は、九州電力利用者専用の会員サービスです。会員登録することでさまざまな特典と受けることができるようになります。WEB上で最大過去2年間の電気料金や使用量が確認できることや、省エネに役立つようなデータを見ることができ、電気代の節約にも役立ちます。会員になると「Qピコ」という独自のポイントシステムを利用でき、毎月の電気使用量や条件に応じてポイントが貯まるサービスも特典の一つです。会員サイトでは九州のくらしの情報を見ることで生活に役立つ知識も得られます。また、別途申し込みが必要ですが、「子育てサポート」や「生活トラブルサポート」など生活に合わせたさまざまな安心サポートも用意されています。
この記事のまとめ
九州電力では電力自由化前も後も従量電灯B・Cのプランは変わらず申込が可能です。電力自由化後の新プランのスマートファミリープランは従量電灯Bをベースにしており、スマートビジネスプランは従量電灯Cがベースとなっています。「すくすく赤ちゃんプラン」や「IJUターン応援プラン」に追加で申し込むことによってよりお得に電気が利用できる可能性がありますのでチェックしておきましょう。
- スマートファミリープランは3段階目の電気料金が従量電灯Bより1.10円安い
- スマートビジネスプランの電力量料金単価は従量電灯Cの2段階目料金と同額で一律となっている
- 九州電力のガスプランは電気とガスのセットでのみ申込ができる
2016年の電力自由化前までは、九州エリアの低圧契約者は電気を利用するための選択肢が「九州電力」での契約しかありませんでした。しかし、自由化後には利用者が電力会社を選べるようになったことで、ライバルとの競争が生まれました。その中で九州電力はこれまでの顧客基盤を守るためにさまざまなサービスを展開し、利用者にとって価値のある企業であるよう努力を続けています。
電力自由化によって九州電力以外の電力会社を選べるようになったことで、利用者の選択肢は大きく広がっています。ただ、選択肢が増えたぶん「どのプランを選んだらいいのか分からない」という人も多いでしょう。一括比較サイトなどでシミュレーションしてみると最適なプランが見つかることもあるので、電気プランに悩んだときは試してみましょう。