電気料金の領収書を見ていると「燃料調整費」という項目がありますが、その意味や計算方法についてよくわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では燃料調整費の詳細について紹介していきます。
損なの?得なの?燃料調整費とは
燃料調整費とは、電気を作るために必要な原油などの火力燃料の相場を調整する目的で導入された費用です。日本では、原油・液化天然ガス・石炭といった火力燃料のほとんどを輸入に頼っています。そのため、産油国の地政学リスクや為替レートの変動、先物取引の影響などによって毎日のように相場は変動しているのです。相場変動を基本料金や電気料金に反映させていたのでは、電気会社側に大きな負担がかかります。そこで、基本料金や電気料金は据え置いたうえで、別枠として火力燃料の相場に合った費用として燃料調整費が設けられているのです。旅行などで飛行機によく乗る人は、燃油サーチャージをイメージしてみるとわかりやすいでしょう。
燃料調整費は一般的に3カ月間の燃料価格の平均から計算されて、そのおよそ2カ月後の電気料金に反映される仕組みです。ガソリンや灯油の価格などと比べると料金に反映されるまでに時間差があります。「ガソリン価格が安くなったのに、燃料調整費が上がっている」というケースもありますが、それは価格を反映させる時期が違っているだけなので、気をつけましょう。
燃料調整費はこうすれば計算できる
燃料調整費の計算はそれほど難しいものではありません。基本的に各家庭の燃料調整費は、「1kWh当たりの燃料費調整単価×各家庭の電気使用量」で算出できます。たとえば、1カ月の電気使用量が500kWhの家庭である場合、燃料費調整単価が1kWh当たり「0円82銭」だとすると、「0.82円×500kWh=410円」です。燃料費調整単価については電力会社のホームページに毎月掲載されていますので、確認してみると自分で計算することもできます。燃料費調整単価は、原油以外にも石炭や液化天然ガスなどの合計価格から算出されており、基本的にそれらの価格が上がれば高くなります。
その一方で、原油や石炭などの価格が下がれば、燃料費調整単価も下がるので、一方的に家計の負担が増えるというものではありません。また、自分で計算するのが面倒くさいという人は、電力会社が発行している請求書に実際にかかった金額が記載されているはずです。どのぐらい支払っているかを確認するためにも、一度見てみましょう。
そもそも電気料金ってどうやって決まるの?
電気料金は「基本料金+電力料金単価×電力使用量+燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で決まっています。電気料金は利用するにあたって、最低支払額となる基本使用料を支払わなくてはいけません。基本使用料は、仮に空き家で電気を1カ月間まったく使わなかったとしても、契約している限り支払う必要があります。基本使用料の決まり方は契約時に指定したアンペアによって決まります。電力量料金単価とは、従量料金の単価のことです。使えば使うほど電力会社によって定められている料金がとられる仕組みになっています。
電気料金は、基本料金と使用料金に加えて、燃料調整費や太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及に必要な費用として賦課金が徴収されているのです。「少しでも安く電気料金を抑えたい」という人は、まず自宅で使っている家電の消費電力を調べることから始めましょう。なぜなら、家電の消費電力がわかれば電気使用量を抑えることにつながるうえ、アンペア設定を見直せれば基本料金が安くなるからです。
意外と簡単!電気料金を安くする方法
電気料金を安く抑える簡単な方法は、まずアンペア契約を見直すことです。家庭にある家電の電力使用量を調べたうえで、不必要に高いアンペア契約を結んでいれば契約している電力会社に相談してみましょう。また、契約プランを見直すという方法も効果的です。電力会社は一般的に、複数の料金プランを持っています。たとえば、「昼間の電気料金は通常より多少高いが、深夜の電気料金をお得にする」といったプランです。平日は会社や学校で家にいない世帯は、このようなプランに加入するとお得に利用できる場合があります。
しかし、最も効果的に電気料金を安く抑える方法としては、「電力会社を見直すこと」です。電力会社を見直すことで、基本使用料や電力料金単価の低い会社と契約することもできます。すると、これまで同様の生活を送っていても電気料金が安くなるでしょう。電力会社の変更というと、手間のかかるイメージをも持っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。電力会社の変更はインターネット上だけの手続きで可能です。「該当する電力会社がたくさんあって選べない」というときは、比較サイトなどもありますので、検討してみましょう。
電力会社を見直してみよう
燃料調整費は、飛行機における燃油サーチャージのようなもので、燃料価格の変動に合わせて変わります。ただし、燃料調整費は支払わなければいけない料金なので、削減して電気料金を安くすることはできません。電気料金を安くするためには、契約プランの見直しや電力会社の変更が効果的です。燃料調整費という言葉に興味を持った人は、これをきっかけに電気料金を安くする方法を検討してみましょう。