2019年10月に消費税が10%に引き上げられることが決定しています。消費税の引き上げは電気料金にも関係してくるのでしょうか。実際に増税されると電気料金にはどの程度の影響があるのでしょうか。今回は、増税後に予想される電気料金の変化とそれに対しての対策について解説します。
目次
そもそも電気料金には消費税がかかっているの?
私たちが普段支払っている電気料金には、消費税がかかっています。電力会社のホームページやパンフレットに記載されている料金表は、税込で表記されるのが一般的です。電気料金には「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の4つが含まれており、そのすべてに消費税がかかっています。
基本料金は、契約アンペア数(A)によって決まり、アンペア数が高くなるほど基本料金も高くなります。電力量使用量は電気使用量に応じて請求されており、計算方法は、電力量料金単価(円/kWh)×1か月分の電気使用量(kWh)です。
燃料調整費は、月ごとに金額の調整がされており、電気料金に追加もしくは差し引かれて反映されています。燃料調整費は1996年1月に燃料費調整制度の導入で請求されていますが、電気を作るために必要となる原油や石炭などは、市場や為替などの外部要因によって価格変動するため請求額も変動しているのです。さらに、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、全国一律の単価により、単価×1か月の電気使用量で計算され請求されています。2009年に太陽光発電の余剰電力を電力会社に買い取ることを義務付ける政策がスタートしてから買い取りにかかるコストは電力料金に上乗せし一般市民で広く負担することになっており、これは再生可能エネルギー普及への取り組みとして今も継続されています。
消費税が5%から8%に上がったときにとられた対応
2015年4月に消費税が5%から8%に上がったときには、電気料金は消費税相当額分だけ値上げされています。たとえば、税金を足す前の電気料金が6,000円なら、増税前の税込料金は6,300円でした。それに対して、消費税率8%への増税後の税込料金は6,480円となっています。ただし、増税の対象となった電気料金は4月分からではなく5月分からでした。その理由は、電気料金に対して消費税法上の経過措置がとられたためです。経過措置とは、新しい法律をスムーズに施行するために、ある期間だけ特別な対応を認めることをいいます。
電気料金に経過措置がとられたのは、4月分の電気料金に含まれるのが3月の検針日から4月の検針日までに使用された電気の量だからです。4月分の電気料金に8%の消費税を掛けてしまうと、3月に使用した電気料金にまで課税してしまう恐れがあります。電気は月に一度検針するだけなので、正確に何月何日にどれくらいの電気を使用したのかまでは分かりません。そのため、経過措置をとることにより、本来発生しないはずの消費税が出ることのないように配慮されました。
消費税が10%に上がったときの電気料金
消費税率が8%から10%に上がると、電気料金は具体的にどの程度上がるのでしょうか。たとえば、消費税をかける前の電気料金が5,000円だとして考えてみましょう。消費税率が8%のうちであれば、電気料金は5,400円です。これに対して、消費税率が10%になると電気料金は5,500円になります。つまり、この場合は消費税率の引き上げによって100円の値上げになっています。さらに、消費税をかける前の電気料金が1万円なら、増税前は1万800円、増税後は1万1000円です。当然といえば当然ですが、課税対象となる金額が増えるほど消費税の金額も大きくなります。増税によって実際にどのくらい料金になるかについては、「(現在の税込の電気料金)÷108×110」の計算式で算出することが可能です。
電力会社を変更すると電気料金を節約できる!
消費税が増税になると、電気料金はその分だけ値上がりします。電気の使用量が多いほど、家計への影響も大きいです。増税による家計の圧迫を最小限におさえるには、電力会社を変更する方法があります。2016年4月から始まった電力自由化により、既存の電力会社以外にも電力を提供する会社が多くなりました。電力自由化によって新たに参入した会社のなかには、地域の電力会社よりも安い価格で電気を提供しているところもたくさんあります。そういった電力会社に電気の契約を変更するだけで、電気の使用量が同じでも電気代を安くすることが可能です。生活スタイルを変えなくても節約できるので、負担が少なくて済みます。
電気料金が少しでも安い電力会社を探すには、複数の会社を比較できるサイトを利用すると便利です。比較サイトなら、比較から申し込みまでの手続きをネット上で完結させることもできます。サイトで電気料金の比較をするには、1カ月分の電気使用量の検針票が必要になります。検針票さえあれば、数分で結果が分かるのでとても簡単です。
電力会社の変更は増税前に済ませよう
消費税が10%になれば、電気料金にも影響が及びます。実際に計算してみると分かるとおり、増税による電気料金の値上げは家計にとって大きなダメージとなるでしょう。電気料金を節約するには、電化製品のプラグをこまめに抜いたり、必要ないときは明かりを消したりする対策をするのも大切です。とはいえ、それだけで得られる節約の効果はそれほど大きくはありません。一方、契約する電力会社を変更すれば、それだけで年間1万円以上の節約になるケースも多くなっています。電気の使い方を変えなくても大幅に電気代を節約できるので、とても手軽です。消費税が増税になる前に電力会社を変更し、少しでもお得に電気を使えるように準備を整えておいてはいかがでしょうか。