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バイオマス発電の仕組み
バイオマスとは化石燃料を除く動物や植物などから生まれた生物資源の総称です。バイオマス発電では、バイオマスを直接燃やしたりガス化したりすることで発電します。バイオマス発電は発電方法によって3つに分類することができます。
1.直接燃焼方式
木くずや間伐材、可燃ごみ、精製した廃油などを輸送しやすく燃焼しやすい形に加工し、それを燃やして蒸気タービンを回すことで発電します。
燃焼することによって二酸化炭素が発生しますが、その二酸化炭素は植物などが成長する過程で大気中から吸収したものなので、トータルでは二酸化炭素は排出されていないというカーボンニュートラルの考えの下、再生可能エネルギーに位置付けられています。
2.熱分解ガス化方式
木くずや間伐材、可燃ごみなどを加熱することによって発生させたガスでタービンを回して発電します。
3.生物化学的ガス化方式
家畜の糞尿や生ごみ、下水汚泥などを発酵させることによって、メタンなどのバイオガスを発生させて、タービンを回すことで発電します。
バイオマス発電の特徴
1.自然環境に左右されない
太陽光や風力など他の再生可能エネルギーは悪天候が続いたり風が吹かなかったりと自然環境によって発電できないことがあります。しかし、バイオマス発電は燃料さえ確保できれば、安定した発電量を見込むことができます。
2.農山漁村の活性化
家畜排せつ物や間伐材など、農山漁村にはバイオマス資源が多く眠っています。これらを発電に有効活用することによって、新たな産業を興したり、自然循環環境機能の維持増進につながったりし、農山漁村の活性化につながります。
3.地域環境の改善につながる
今まで捨てられていた生ごみや家畜排せつ物を発電に利用することで、地域の環境の改善に貢献することができます。
バイオマス発電の課題
1.発電効率が低い
バイオマス発電の発電効率は、現状20%程度といわれています。石炭火力発電における発電効率は40%程度なので、さらなる技術革新が望まれています。
ちなみに、発電だけではなく熱も有効活用した場合、エネルギー変換効率は75%程度にまで上がるので、暖房などの熱利用も考えていくことも有効な方法です。
2.収集運搬コストが高い
バイオマス発電に使われる資源は広く薄く存在している傾向にあります。各畜産業者から家畜排せつ物を集めたり、各山の所有者から間伐材を集めたりとコストが多くかかるので、効率的に収集運搬できるシステムを構築する必要があります。
3.食料供給や他用途との競合
食料供給と両立可能な稲わらを発電に用いたり、堆肥などに利用している家畜排せつ物を発電に用いたりしているため、バイオマス発電の需要が高まれば競合の用途の供給に影響を及ぼす可能性があります。例えば、バイオマス燃料としての需要の高まりから食用との利用と競合し、トウモロコシや大豆などの穀物価格の上昇を招いています。