いたずらの防止や防犯対策として一般の家庭でも防犯カメラを設置する例が増えているようです。防犯カメラは基本的に24時間稼働させることになりますから、電気代がどれくらいかかるのかは、重要な問題といえます。防犯カメラを稼働させるのにどれくらいの電気代が必要か検証していきます。
維持費が払えず撤去された事例も
2018年4月、防犯カメラの維持費がニュースになりました。大阪市の繁華街ミナミにあるアメリカ村では、年間約260万円にのぼる維持費を賄うのが困難となり、街頭に設置されている81台の防犯カメラの撤去が決まりました。犯罪の抑止力としての効果が期待される防犯カメラですが、継続して発生する維持費との兼ね合いが困難と判断されたのでしょう。
自宅に防犯カメラを設置しようと考えている人にとって、維持費は大きな問題です。防犯カメラにかかる維持費は電気代の他にも、メンテナンス費用やリース料金、データ保存に関する費用などが必要となります。家庭で防犯カメラを導入する際にも、当然これらの費用が必要となってきます。
今回のニュースは、大阪の繁華街という非常に広範囲のものでしたが、家庭などで小規模に導入する場合でも、同様の問題は起こるのでしょうか。また、維持費を安くするためには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
防犯カメラの電気代は1台につき月数十円ほど
実は、防犯カメラの電気代自体は決して高いものではありません。一般的な防犯カメラの消費電力は、0.5〜2Wほどです。
電気代は消費電力(W)÷1000×使用時間(h)×1kWhあたりの電気代で求められます。1kWhあたりの電気代は、地域や契約によって異なりますが、ここでは27円/kWhで計算してみましょう。すると、1日あたりの電気代は
2 ÷1000×24×27=1.296円
となり、約1.3円であることがわかります。月に換算すると40円弱の値段です。
とはいえ、これは防犯カメラ本体の電気代にすぎません。防犯カメラには、記録した映像を保管するレコーダーが必要不可欠となります。レコーダーの消費電力はおよそ20Wほどですので、上記の計算式に当てはめると、
20÷1000×24×27=12.96円
です。1日約13円、月に400円弱となります。
つまり、防犯カメラを家庭で利用する際に必要な電気代は、毎月400円強という計算です。年間にして、約5000円の電気代が必要となります。
毎日使う冷蔵庫と比較するとどちらが高い?
次に防犯カメラの電気代を、防犯カメラと同じく年中電気を使っている冷蔵庫と比較してみましょう。冷蔵庫の消費電力量は、扉の開閉回数や開けている時間、それに時期などによって変わるため、測定方法がJISによって定められています。そのため、電気代の計算もJISによって測定された、年間消費電力量を用いて計算します。
容量が401~450Lの冷蔵庫の年間消費電力量は、248kWh(省エネ性能カタログ2016年冬版2015年製平均値に基づく)です。冷蔵庫の年間電気代は、年間消費電力×1kWhあたりの電気代で求めることができます。防犯カメラと同様に、27円/kWhとして計算すると、
248×27=6696円
となります。 これを月平均に直すと、558円です。防犯カメラの月の電気代が400円弱でしたから、冷蔵庫よりも安い電気代で利用できることがわかります。
こうして比較すると、防犯カメラの電気代が決して高いものではないことが、よくわかるのではないでしょうか。
電気代以外のコストはどれくらいかかる?
気をつけたいのは、防犯カメラにかかる維持費は電気代だけではない、ということです。防犯カメラを家庭に導入する場合、本体を購入するかリース契約で借り受けるかの選択肢があります。防犯カメラ1台のレンタル料金は、会社によってまちまちですが、最初の1カ月で約1万円、以降月8000円ほどの支払いで借りられる場合が多いようです。購入の場合、カメラの画素数やレコーダーの記録容量によって、値段は大きく変わってくるものの、カメラ本体に3万円ほど、映像を記録するレコーダーに10万円前後が必要になります。
また、映像をクラウドにバックアップする場合には、別途クラウドストレージの利用料がかかります。他にも、防犯カメラのメンテナンス費用や、設置を依頼する場合には設置費用などが必要です。
購入するか、レンタルするかによって、防犯カメラにかかる初期費用や維持費は大きく変わってきます。レンタルの場合、初期費用はほとんど必要ありませんが、電気代の他に維持費は毎月1万円ほどかかります。購入の場合、月の維持費は電気代とクラウドストレージの利用料程度です。しかし、初期費用は10万円以上必要となります。
安く利用するには電力会社の見直しも
防犯カメラを電気代の観点からみた場合、決して高いものではありません。しかし、今までの電気代に対して確実にプラスされていきます。そこでおすすめしたいのが電力会社の変更です。電力会社を変えることで、防犯カメラにかかる電気代だけでなく、他の家電などにかかる電気代全体を安くすることができます。
電力会社の変更は簡単です。変更先の電力会社にWeb上で申し込むだけで大丈夫です。今の電力会社の解約手続きや切り替えのための工事なども必要ありません。電力メーターがスマートメーターになっていない場合は、スマートメーターへの交換が行われますが、これは原則無料・立会不要です(設置に壁の工事が必要な場合などは工事費や立会が必要な場合もあります)。
電気代が安い電力会社を探すには電力会社の比較サイトを利用するのが便利です。1か月分の検針票に記載の情報から電気代が安くなる電力会社を探すことができ、提携会社へはそのまま申し込むことができます。さらに、ギフト券などのプレゼントキャンペーンも行っています。この機会に電力会社を切り替えてみてはいかがでしょうか。