天井に取り付けるタイプの扇風機「シーリングファン」。ホテルやレストラン、カフェなどで優雅に回っているのをよく見かけますが、シーリングファンにはそのおしゃれなインテリア性だけではなく、サーキュレーション効果で室内の温度のムラをなくすという実用性もあります。
ここでは住宅にシーリングファンを取り入れた場合、その運用に電気代がどれくらいかかるのかとシーリングファンのメリット・デメリットについて説明します。
目次
シーリングファンにはどんな機能があるの?
電気代について説明する前に、まずは、シーリングファンにどのような機能があるのかについて説明します。
日本では装飾品としての印象が強いシーリングファンですが、本来は空気を攪拌し、部屋の空気を循環させるための設備です。室内では冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまり、上下で温度差が発生してしまいます。天井でファンを回転させることで上下の温度ムラを減らし、効率的な冷暖房が行えます。特に暖房の効きにくい吹き抜けや高天井の空間、空気対流の少ないマンションなどで、効率的な冷暖房を行うのに効果的といえるでしょう。
冬の暖房時は、暖気が天井付近にたまり、足元はスースーと寒くなりがちです。そんなときも天井にシーリングファンがあれば、天井近くにたまった暖気を拡散して空気を対流させ、暖かさを足元まで広げてくれます。暖房の効率を上げるのに大きな効果を発揮します。
一方、夏の場合はまさしく扇風機としての役割を発揮。ゆったりとした気流を天井から送ることで体感温度を下げ、涼しさを感じさせてくれます。体感温度が下がることで冷房の設定温度を上げることができ、省エネ効果をもたらします。
シーリングファンのデザインはシンプルなファンだけのもの、クラシックな木目調のもの、照明器具付きのものなどバラエティー豊かです。インテリアを楽しみながら、冷暖房の効率をあげ、省エネ、電気代の節約につながるのがうれしいポイントです。
シーリングファンのACモーターとDCモーターの比較
シーリングファンには、ACモーター(交流電源)タイプとDCモーター(直流電源)タイプの2種類があります。ACモータータイプはモーターの構造がシンプルなため、価格の安価なものが主流です。商品数も多く、デザインのバラエティーに富んでいるのが特長といえるでしょう。
一方、DCモータータイプは消費電力が少ない上に振動や音が小さく、しかもパワフルに回ります。回転数の制御性能に優れていることから、ゆっくりとした回転の微風も可能になっています。ただし、ACタイプと比べるとモーター部分がやや大きく、価格は高価になります。
購入費を安く抑えたい、さまざまなデザインのなかから好きなものを選びたいという方はACタイプを、初期費用はかかっても長い目で見て電気代を抑え、ランニングコストを安くしたい、風量を細かく設定したいという方はDCタイプがおすすめだといえます。さらに寝室に取り付けたり、赤ちゃんのいる家の場合は、振動や音が小さなDCタイプが向いているでしょう。
シーリングファンの電気代って、どのくらいかかるの?
冷房や暖房と併用して使うことで、効果的に室内の温度を快適に保つシーリングファン。しかし、気になるのはその電気代です。
シーリングファンの消費電力はACモーターで20~45W程度、DCモーターはその約半分です。ACモーターのシーリングファンの消費電力を45Wとして、一般的な家庭の電気代27円/kWhで1時間使用したと計算すると「45(W)÷1000×1時間×27円=1.215円」、1時間使用した場合の電気代は1.215円となります。
24時間ずっと回したとしても1日29.16円、1カ月の電気代は約904円です。これがDCモータータイプであれば、半額の452円ということになります。シーリングファンの電気代は、それほどかからないことがわかります。
一方、エアコンの設定温度は暖房の場合、設定温度を1℃下げると設定変更前より5〜10%の節電効果があります。冷房運転の場合は、1℃上げると設定変更前より約10%の節電効果を得られるとされています。エアコンとシーリングファンを併用することで、エアコンの設定温度を冬なら低めに、夏なら高めに設定しても室内を快適温度にすることができ、消費電力もエアコンだけ使用のときより抑えることができるのです。
シーリングファンのメリット・デメリットは?
メリット
シーリングファンはインテリアのアクセントとしても素敵ですが、室内の空気を循環させることで暖房や冷房の効率をアップするという実用性があります。
シーリングファンの消費電力は比較的少なく、シーリングファンを回すことでエアコンの消費電力を抑えられます。その費用対効果は抜群。結果的に、電気代を抑えることができるのが大きなメリットといえます。
さらに洗濯物を室内干ししたときに、早く乾かすことができるというのも良い点でしょう。
デメリット
デメリットとしては掃除の面倒さがあげられます。高い位置に付いている上に羽の上や横にホコリがたまりやすいので、脚立などを使用して落下しないように十分に注意しながら掃除をしなければなりません。
脚立で届かないくらい高い場所に付いている場合は足場が必要となり、そうなると素人の手にはおえないでしょう。設置を検討する場合は、メンテナンスのことも考えて取り付け場所を決めるようにしましょう。
ACモータータイプの場合は、製品によっては音が気になる場合があります。また天井が低く部屋が狭い場合は、インテリア目的以外の効果が薄い場合があるのでよく検討しましょう。
インテリア性と省エネを兼ね備えたシーリングファン
シーリングファン設置にはメリットもデメリットもありますが、シーリングファンを使用することでエアコンの電気代が抑えられるのは大きな魅力。インテリアのアクセントとしても素敵です。
吹き抜けのリビングや、天井高のある空間にはもちろん最適ですが、最近ではマンションの天井に取り付けても圧迫感のないスマートなデザインのものもあります。快適な生活や節約のために、設置を検討してみてはいかがでしょうか。