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電気の基礎知識

地熱発電の仕組みと課題

2017年5月23日

地熱発電の仕組み

地熱発電は雨や雪解け水などがマグマの熱で温められて高温の流体となったもの(地熱流体)を用いて発電します。
地熱発電は発電方法によってフラッシュ発電とバイナリ―発電の2つに分けられます。

フラッシュ発電

フラッシュ発電は200℃以上の高温地熱流体に適した発電方法です。

1.地熱流体がたまっている地熱貯留層に井戸(生産井)を掘り、地熱流体を取り出します。
2.取り出した地熱流体をセパレータで蒸気と熱水に分離させます。
3.その蒸気を用いてタービンを回すことで発電します。分離された熱水は還元井から地下に戻されます。
4.発電し終わった蒸気は復水器で温水へと凝縮され、さらに冷却塔に送られて温度を下げた後、復水器で冷却するのに再利用されます。

バイナリ―発電

バイナリ―発電は水よりも沸点が低い二次媒体を用い、地熱流体で温められた二次媒体の蒸気でタービンを回して発電します。より低温の地熱流体での発電に適しています。

1.生産井から地熱流体を取り出します。
2.地熱流体で二次媒体を温めて蒸気化します。地熱流体は還元井で地下に戻します。
3.その蒸気を用いてタービンを回すことで発電します。
4.発電し終わった二次媒体の蒸気は凝縮器で液体に戻し、再利用します。

地熱発電の特徴

1.安定した発電量

既にたまっている資源を用いて発電するので、太陽光や風力のように天候や季節、昼夜に影響されることなく発電することができます。

2.発電コストが安い

地熱発電は稼働開始までに多くの時間と費用がかかりますが、稼働後は高い費用対効果が見込めます。九州電力の八丁原発電所では、近年になって7円/kWhの発電コストを実現しています。

3.資源量が豊富

日本は火山国であるため、資源量が多く、大きな潜在力を有しています。

地熱発電の課題

1.国定・国立公園との競合

地熱発電が積極的に進んでこなかった大きな理由の一つとしてあるのが、候補地の多くが国定公園・国立公園に指定されていることです。国立公園内には長い間発電所の新設が認められてきませんでしたが、2011年から見直しが入り、2012年には国立公園内の工事に届け出が不要になるなど、規制緩和が進んでいます。

2.温泉地との争い

温泉を観光資源としている場所について、地熱発電の新設によって景観が損なわれる、湯量の低下や温度の低下をもたらす恐れがあるなどの理由から反対の動きが根強くあります。

3.地震の誘発

過去に大規模な地震を誘発した例はありませんが、地価との熱水の出入りによって微小な地震が発生することがあります。ただ、通常は人が感知できないような無感地震です。

人が感知できる小規模自身が多発した例(スイスのバーゼル)もあるので、注意は必要です。

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