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波力発電の仕組み
波力発電は波のエネルギーを利用して発電する発電方法です。発電方法は主に振動水柱型、可動物体型、越波型の方法があります。
振動水柱型
発電装置の中に空気室が設けられていて、波によって海面が上下する際に空気室内の空気が押し出されます。空気が押し出される先にタービンが設置してあり、タービンを回転させることによって発電させる方式です。
可動物体型
振り子式に動く物体に波をあて、波の力で前後に揺れる物体のエネルギーを油圧装置に伝え、それをさらに回転運動に変換させることで発電します。可動物体の種類によって、ジャイロ式やポイント・アブソーバー式などがあります。
越波型
防波堤とその手前に貯留地を作り、防波堤を超えてきた波を貯留地に貯めます。それを引き波に合わせて海に戻す際に、通り道にタービンを設置することで、タービンを回して発電する方法です。
波力発電の特徴
1.面積当たりのエネルギーが大きい
面積当たりのエネルギーが太陽光発電の20~30倍、風力発電の5~10倍あります。
2.発電の見通しが立てやすい
風力などと比べて波の状況の予測は立てやすく、発電量の見通しを立てることが比較的容易です。また、波が全くないという状況が続くことはなく、ある程度安定して発電することができます。
3.離島部でも発電できる
波によって発電するので、海に囲まれている日本はどこでも発電できる可能性があります。特に離島部では、発電コストが高いディーゼル発電機が用いられていることが多く、代替電源として期待がもたれます。
波力発電の課題
1.コストが高い
海上に設置する必要があるので、陸地に設置できる他の発電よりもコストが高くなります。また、設置した後も潮による腐食やフジツボの付着などがあるため、維持・管理コストが多くかかります。
2.漁業関係者との調整
海に設置するので、漁業関係者との調整が必要になる場合があります。海洋生物に影響が出ないか、船の航路に影響が出ないかなどを話し合い、合意する必要がでるでしょう。
3.波浪による損害や破損
風力発電は回転を止めることによって台風の強風をやり過ごすことができますが、波力発電では波の力を受け止める必要があります。想定を超える波の力で発電の装置が破損する可能性があり、そうした破損物が海を漂流し、海洋汚染の原因となります。