電力自由化の目的は、これまで大手電力会社が各エリアで独占状態だった電力供給市場を開放し競争させることによって効率を上げコスト削減を図る事です。2016年4月には一般家庭向けの電力販売も自由化となり様々な新電力会社が参入しました。新電力会社の中でどれだけ電気料金を安く提供できるかという点は注目されやすく、中でも人気が高いLooopでんきに関心を持つ人は多いでしょう。この記事では、Looopでんきとはどのようなサービスを提供しているのか、その特徴やプランについて解説していきます。
目次
Looopでんきの電気プランの特徴
Looopでんきのプランの特徴について説明します。Looopでんきの提供エリアは、北海道から沖縄まで日本全国で幅広く供給を行っています。それでは、電気プランをLooopでんきに変更するとどれくらいお得に利用できるのか確認してみましょう。
基本料金が無料!電気代は使った分だけ
電気代の基本構成は、下記の合計額で構成されています。
【電気代の計算方法】
電気料金=(基本料金)+(電力量料金単価×使用量)+(燃料費調整単価×使用量)+(再エネ賦課金単価×使用量)
Looopでんきでは、基本料金や最低料金は0円で設定されているので、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などの加減算はあるものの実際に使った分だけ電気代を支払えばいいことになります。基本料金がなく使った分だけ支払うという納得しやすい料金システムは業界初の革新的な料金プランとして加入者を増やし2020年2月末時点で延べ20万件超の契約者数(低圧)となっている注目の電力会社です。
■燃料費調整額・・・原油や石炭、LNGなどの火力発電の燃料価格や為替レートの変動を迅速に電気料金に反映させたものです。販売する電気の発電構成が異なれば電力会社によって金額が異なるため詳しくは各電力会社に確認しましょう。
(2021年6月時点でLooopでんきの燃料費調整額は地域の電力会社のものと同じのようです。)
■再生可能エネルギー発電促進賦課金・・・太陽光などの再生可能エネルギーで発電された電気を固定価格買取制度によって電力会社が購入するのに要した費用を電気利用者に負担させるための金額です。法律で電気利用者に徴収することが決まっています。2021年度(2021年5月分~2022年4月分)の単価は3.36/kWhです。
プランはシンプル!わかりやすい料金設定が魅力
電気会社を選ぶ際、料金プランが複雑なために悩んでしまう人は多いのではないでしょうか。他のサービスとの組み合わせで割引になるといったプランも多く、電気料金だけで考えたい人には向いていないケースも見られます。この点でいえばLooopでんきの料金設定はシンプルでわかりやすいのが特徴です。一般家庭向けの主なプランは「おうちプラン」と「ビジネスプラン」になります。「おうちプラン」は、アンペア制の基本料金がある大手電力会社の従量電灯B、最低料金制の大手電力会社の従量電灯Aに相当するプランで、「ビジネスプラン」は、アンペア制の基本料金がある大手電力会社の従量電灯C、最低料金制の大手電力会社の従量電灯Bに相当するプランとなっています。
「おうちプラン」はどれだけ安い?
おうちプランでは、基本料金が0円で一般的に三段料金となっている従量料金も一段階で一律となっており、東京エリアでは26.40円、関西エリアでは、22.40円です。総務省統計局の家計調査(2019年度)によると、一人暮らしの1カ月の平均電気代は5,138円です。二人以上の世帯の平均では、1カ月10,825円となっています。下記モデルケースを参考に自分の家の電気代と比較をしてみましょう。
東京電力エナジーパートナー従量電灯Bとの比較
種別 | 区分 | 単位 | 料金単価(10%税込) | |
---|---|---|---|---|
Looopでんき | 東京電力EP | |||
おうちプラン | 従量電灯B | |||
基本料金 | 10A | 1契約 | 0円 | 286.00円 |
15A | 429.00円 | |||
20A | 572.00円 | |||
30A | 858.00円 | |||
40A | 1,144.00円 | |||
50A | 1,430.00円 | |||
60A | 1,716.00円 | |||
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 26.40円 | 19.88円 |
120kWhをこえ300kWhまで | 26.48円 | |||
300kwh超過分 | 30.57円 |
電気代の比較(1カ月)
1カ月の使用量 | Looopでんき | 東京電力EP | 差額 |
---|---|---|---|
おうちプラン | 従量電灯B | ||
20A 200kWhの場合 | 5,280円 | 5,076円 | +210円 |
20A 250kWhの場合 | 6,600円 | 6,400円 | +200円 |
30A 300kWhの場合 | 7,920円 | 8,010円 | -90円 |
30A 350kWhの場合 | 9,240円 | 9,538円 | -298円 |
40A 400kWhの場合 | 10,560円 | 11,353円 | -793円 |
40A 450kWhの場合 | 11,880円 | 12,881円 | -1,001円 |
50A 550kWhの場合 | 14,520円 | 16,224円 | -1,704円 |
関西電力従量電灯Aとの比較
種別 | 区分 | 単位 | 電気料金(10%税込) | |
---|---|---|---|---|
Looopでんき | 関西電力 | |||
おうちプラン | 従量電灯A | |||
最低料金 | 最初の15kWhまで | 1契約 | 0円 | 341.01円 |
電力量料金 | 15kWhをこえ120kWhまで | 1kWh | 22.40円 | 20.31円 |
120kWhをこえ300kWhまで | 25.71円 | |||
300kWh超過分 | 28.70円 |
※Looopでんきの電力量料金は、0kWhから15kWhまでも1kWhあたり22.40円になります。
電気代の比較(1カ月)
1カ月の使用量 | Looopでんき | 関西電力 | 差額 |
---|---|---|---|
おうちプラン | 従量電灯A | ||
200kWhの場合 | 4,480円 | 4,530円 | -50円 |
250kWhの場合 | 5,600円 | 5,815円 | -215円 |
300kWhの場合 | 6,700円 | 7,101円 | -401円 |
350kWhの場合 | 7,840円 | 8,536円 | -696円 |
400kWhの場合 | 8,960円 | 9,971円 | -1,011円 |
450kWhの場合 | 10,080円 | 11,406円 | -1,326円 |
550kWhの場合 | 12,320円 | 14,276円 | -1,956円 |
※電気代は、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金は含まれていません。
Looopでんきは、三段料金の設定が一律のため、電気を多く使う家庭であればあるほどお得に利用できるようです。基本料金が0円設定ですが、一人暮らしで電気使用量が少ない人やあまり電気を使わない家庭では電気代が高くなってしまう可能性もあるため、変更を検討する場合には自分の現在の電気代とシミュレーションを行ってから変更の手続きを行うようにしましょう。
Looopでんきの割引プラン「Looopでんき+(プラス)」とは?
Looopでんきを販売する株式会社Looopは、電気の販売の他に再生可能エネルギー事業に力を入れている会社です。再生可能エネルギーの普及のために太陽光発電設備の普及や蓄電池の開発などを行っています。Looopでんきは一般家庭向けのおうちプランとビジネスプランをベースプランとしその他のLooopのサービスを利用している人向けにさまざまな割引を設けています。
株式会社Looopは発電した電力の買取もおこなっており、太陽光発電設備を設置している住宅の人が余剰電力を株式会社Looopに売電することでLooopでんきの「おうちプラン」や「ビジネスプラン」の通常従量料金より更に1円安く契約できるという制度が「ソーラー割」です。また、Looopが販売するLooop Solar(Looopが販売する住宅用太陽光発電設備)を利用している住宅であれば更に1円安くLooopでんきを利用できるという割引は「ソーラー割L」になります。
株式会社Looopが販売する蓄電池を利用する家庭がLooopでんきを利用すると通常の電力量料金より3円安く利用することができ、蓄電池は太陽光発電設備とセットで利用することが多いためソーラー割と併用すると更に安く利用できるという仕組みです。これは「Looopでんち割」として割引プランの一つです。
その他、電気自動車を利用している人も通常の電力量料金より1円安く利用できる「EV割」やLooopでんきと契約を継続すればするほど安く利用することができる「再エネどんどん割」などもあります。「再エネどんどん割」は2021年6月時点で北海道エリアのみとなっていますが今後順次サービスは拡大していくようです。
また、Looopでんきはガスの販売もスタートしています。でんきとガスをセットで契約することで利用できる「ガス割」については次項で説明します。
Looopでんき+ガスもスタートしている!
電気とガスを併用している家庭は多く、セット割引の利用ができれば光熱費をさらに抑えることができるでしょう。Looopでんきでもガスの提供が始まっており、電気との組み合わせでお得に使える「Looopでんき+ガス」の利用が可能です。ガスの場合は2020年11月時点で東京ガス株式会社のエリア「東京地区等」を中心に供給されています。実際の供給エリアについては「Looopでんき」の公式サイトから確認できます。
「Looopでんき+ガス」がどれくらいお得なのか、東京電力エナジーパートナーと比較してみましょう。東京電力EPでは、電力自由化後の新プランで従量電灯Bに相当するスタンダードSととくとくガスプランと比較してみます。スタンダードSプランは、従量電灯Bより二段階目の電力量料金が0.02円安く26.46円に設定されています。3~4人家族で電気代が月に40A400kWh使用し、ガスは月に40㎥利用する家庭を「Looopでんき+ガス」と比較してみます。東京電力EPでは、電気代がガスとセット割で102円の割引、5%のスタート割などを含めると1カ月のガス代と電気代は、17,027円です。一方、「Looopでんき+ガス」で契約すると電気代の従量料金が2%割引となり10,348円、ガス代は、6,120円なので合計すると16,468円で「Looop+ガス」の方がお得に利用できます。現在のところLooopガスは単独では申込できないようですので注意しましょう。
でんきとガスのセットプランの比較
3~4人家族(電気:40A_400kWh/月、ガス:40㎥/月)使用の場合
【東京電力エナジーパートナー】
- 電気プラン:スタンダードS
- ガスプラン:とくとくガスプラン
- ガスセット割:電気料金から102円/月
- スタート割:ガスの基本料金と従量料金の合計額の5%
- Webからの電気プラン、ガスプランの申込で500ポイント付与
【「Looopでんき+ガス」】
- 電気プラン:おうちプラン
- ガス割:従量料金が2%割引
Looopでんき | 東京電力EP | |
---|---|---|
1カ月の電気代+ガス代 | 16,468円 | 17,027円 |
1年間の電気代+ガス代 | 197,616円 | 204,324円 |
※計算を簡易にするために年間で使用量に変動はないとしています。
※電気代の燃料費調整額及び再生可能エネルギー発電促進賦課金は含まれていません。
※ガス代の原料費調整額は含まれていません。
※電気料金、ガス料金の合計額は円未満切り捨てで請求となります。
Looopでんきがおすすめなのはこんな人!
Looopでんきの一番の特徴は基本料金がかからないことです。そのため、長期での留守が多いなど毎月固定的に電気を利用しない人に向いています。例えば別荘で電気を使いたい人や出張が多くあまり自宅にいないひとり暮らしの人には、無駄のない料金で電気が利用できます。従量料金の変動がないのもLooopでんきの大きな特徴で、家族が多いなど電気の使用量が多い人にも向いているでしょう。在宅で仕事をしているような、常に電気を使い続けている人にも、Looopでんきはお得な利用が可能です。
また、太陽光発電システムの導入でさらに電気料金がお得になることから、すでに太陽光発電システムを利用中の人や今後設置を検討している人にも向いています。「Looopでんき+」プランなど大幅にお得になるプランも用意されているのも大きな魅力です。これらの理由から再生可能エネルギーに関心が高い人にとってもLooopでんきは適した電気会社といえます。
Looopでんきの電源構成
Looopは、再生可能エネルギーの普及を目指して、太陽光発電や風力発電といった燃料費がかからない発電設備の設置や販売なども行っています。再生可能エネルギーの普及で日本の電力料金は下げていけるという考えのもと、シンプルで分かりやすい価格設定で電気の販売を行っています。そのようなLooopの販売する電気の電源構成を紹介します。
電気の特性
電源構成(2020年度実績)
石炭火力 | 3.0% | LNG火力 | 8.0% |
---|---|---|---|
石油火力 | 0.0% | 原子力 | 1.0% |
FIT電気 | 11.0% | 再生可能エネルギー | 2.0% |
卸電力取引所 | 45.0% | その他 | 30.0% |
※FIT電気を調達する費用の一部は、Looopでんき以外のお客様も含めて電気の利用者が負担する賦課金によって賄われており、CO2排出量については火力発電なども含めた全国平均のCO2排出量を持った電気として扱われます。
※卸電力取引の電気には、水力、火力、原子力、FIT電気、再生可能エネルギーなどが含まれます。
(注)他社から調達した電気については、以下の方法により電源構成を仕分けています。
①調達契約上、電源が特定できるものについては、その電源で表示しています。
②電源構成を公表している社については、その電源構成に基づき仕分けられています。各社の公表状況に応じて、2019年度実績値、2019年度計画値、2018年度実績値を使用している場合があります。
③他社から調達している電気の一部の発電所が特定できないものについては、「その他・不明」の取り扱いとしています。
※株式会社Looop公式サイトより
CO2排出係数(2018年度調整値)
CO2排出係数 | 0.462kg-CO2/kWh |
---|
この記事のまとめ
Looopでんきは基本料金が0円という特徴的プランを主軸として自社のサービスとの併合することでよりお得に利用することができるという事が分かりました。
- Looopでんきの主な電気プランは「おうちプラン」と「ビジネスプラン」
- Looopでんきの「Looopでんき+(プラス)」を利用すると更にお得に利用できる
- Looopでんきを利用している人は「Looopでんき+ガス」に契約することで固定費を抑えられる可能性がある
電気料金はどんなに節約しても基本料金より下回ることはありません。その点「Looopでんき」は基本料金がなく、使った分だけの料金しか支払うことがないので、節約しやすいのが特徴です。基本料金や使用量によって変動する従量料金で電気料金が上がることに悩んでいるなら、乗り換えによって電気代を下げることができます。興味を持ったら、まず電気料金のシミュレーションをして月々の電気代を比較してみましょう。