1人1台携帯電話を持つのが一般的になり、自宅にある固定電話はあまり利用していないという家庭も多いのではないでしょうか。電話を使用しなければ通話料はかかりませんが、基本料金などは支払う必要があります。また、固定電話には意外と電気代もかかっています。今回は、固定電話にかかる電話代や電気代の節約方法について解説していきます。
固定電話にかかる費用
固定電話にかかる一般的な費用は基本料である「回線使用料」のほか、契約内容や利用状況に応じてさまざまな料金が発生します。例えば、キャッチホンや留守番電話などの付加サービスを利用している場合は、「付加機能使用料」が追加されます。また、配線の使用料である「屋内配線使用料」や、電話機などをレンタルしている場合にかかる「機器使用料」なども、契約状況によっては必要です。公衆電話や緊急電話などの提供に必要な費用の一部を負担する制度により、「ユニバーサルサービス料」も基本料金と合わせて支払います。
こうした通話に使用するための基本料金の支払い以外に、固定電話には電話機の待機電力にかかる電気代もあります。一般財団法人「省エネルギーセンター」が平成14年に行った待機時消費電力に関する調査によると、電話機の待機電力の平均は、電話機(FAX付以外)本体と子機も使用している場合だと年間で30.3kWh程度使用しているとされています。1kWhあたりの電気代を27円とすると、30.3kWh×27円で年間818.1円です。メーカーや機器によっても差はありますが、年間800円前後が通話をしていないときの電話機にかかる電気代と考えられます。FAX機能が付いている電話機であれば、さらに電力の消費量が増えるため、もっと多くの電気代がかかることになるでしょう。
それほど、大きな費用が掛かっていないように思えますが、資源エネルギー庁省エネルギー対策課の報告(平成24年度エネルギー使用合理化推進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要)によると、家庭で使用する消費電力量は、4,432kWh/年・世帯となっており、その内、待機時消費電力量は228kWh/年・世帯であるとされています。その中で電話機の待機時消費電力が占める割合は、8%であるとなっています。電話機は家庭の中で使用する電化製品の中でも24時間365日、電気を消費し続けているので割合も大きくなるのでしょう。
固定電話の節約方法には何がある?
電話機の機能を調整または契約内容を見直す
電話機の場合、待機電力がかかるからといって、ほかの電化製品のように「使ってない間はコンセントを抜く」といった節約方法はできません。電話機についている機能を使って節約するには、省エネモードが搭載されていれば設定する、モニターやダイヤルキーのバックライトを調整するなどの方法があります。また、使わないのであれば誰からかかってきたか読み上げる機能を停止するとよいでしょう。FAX機能のない通話のみの電話機に換えたり、子機をなくしたりするなど、電話機そのものの機能や設置台数について見直すことで節電につながります。
電気代だけでなく基本料金を節約したい場合には、利用していない付加サービスは解約しましょう。固定電話の契約時に留守番電話サービスや発信者番号通知サービスなどをつけたものの、使っていないのに何年もそのままにしてしまっている人も多いです。また、固定電話を全く使っていないのなら、固定電話をやめるという選択肢もあります。ただし、インターネットや携帯電話などとセットで利用することで割引になるプランに加入している場合には、固定電話を解約することで料金が変わってしまう可能性があります。解約を考える前に、きちんと契約状況を確認しましょう。
電話機の機能の調整(まとめ)
- 省エネモードを活用する
- バックライトを調整する
- ダイヤルキーのバックライトを消す
- 読み上げ機能を停止する
- FAX機能をなくす
- 子機を使用しない
固定電話の契約内容を見直す(まとめ)
- 留守電話サービスをつけない
- 発信者番号通知サービスをつけない
- 固定電話を解約し、「固定電話は使用しない」という選択
電話会社を変更する
年間800円程度の電気代なら、節約してもあまり効果を感じられないという人も多いでしょう。電気代だけではなく電話代も節約するほうが、より大きな節約効果を見込めます。電話代を節約したいのなら、電話会社の見直しをしましょう。昔から多くの家庭で利用されているのは「一般加入電話」という電話です。一般加入電話はNTTが提供しているサービスですが、NTT東日本・西日本以外の事業者が固定電話サービスを提供している「直収電話」というものもあります。直収電話は、一般加入電話よりも基本料金が安い場合が多いので、電話会社の変更による節約が見込めます。
通常の電話回線ではなくインターネット回線を使った固定電話サービスも増えてきており、回線がある家庭なら一般加入電話から切り替えていることも多いです。インターネット回線が導入されていれば「IP電話」にすることができ、その回線が光回線なら「光電話」にすることもできます。IP電話や光電話は一般加入電話より料金が安いことが特徴ですが、サービス面では劣っている部分も多いです。しかし、普段はあまり固定電話を使わない家庭なら特に不便を感じることもないので、料金を抑えられるIP電話や光電話は電話代の節約に向いています。
新電力への切り替えで電気代を安くする
電力会社を見直すことで、固定電話の費用だけでなく家全体の電気代を安くできます。現在、電力会社は自由に選択できるようになっており、電気の販売も行っている携帯電話会社などでは、携帯電話と固定電話とインターネットなどのような通信費とセットで申し込めるような会社もあります。契約している携帯電話会社で家庭の通信費用と電気と一緒に申し込む事で固定費用が安くなったり、携帯電話会社で貯める事ができるポイントが貯まり易くなるなどメリットも大きいです。電話代と電気代は毎月かかる固定費用になりますので、別々に考えるのではなく、携帯電話会社の提供する電気プランに申し込む事で通信費も電気もお得に利用できるようになる可能性があります。
また、携帯電話会社だけでなく、2016年の電力小売全面自由化以降に多くの新電力会社が参入しており、各電力会社ではさまざまな特徴あるプランを用意しています。ケーブルテレビと契約がある家庭であればケーブルテレビが販売する電気プランと契約することで電気代が今よりお得に利用できる可能性があります。新電力会社には、ガス会社が販売する電気プランや地域密着型の電力会社、基本料金が0円の電力会社などさまざまです。携帯電話や固定電話、インターネットといった通信費と電気代を同じ会社で契約する、ガス代と電気代を同じ会社で契約する、といった固定費の支払いをまとめる事で家計管理も楽になるでしょう。家計やライフスタイルの変化に合わせて電力会社や電気プランの変更を検討してみましょう。現代の家庭で携帯電話普及前に比べると使用頻度が減ったという家庭は多いでしょう。しかし、電力会社を変更し家庭全体の電気代が安くなればあまり使わなくなった固定電話にかかる電気代も気にならなくなるかもしれません。
この記事のまとめ
固定電話をはじめ家電の多くは、待機電力による電気代がかかってきます。一つひとつの節電を意識すると同時に、電力会社の切り替えを検討することで電気代の節約に大きな効果が期待できます。
- 固定電話の待機電力は、家庭で消費する待機電力中、8%である
- 固定電話の年間の電気代は800円程度である
- 固定電話の電話機の機能調整、契約内容を見直すことで節約が可能
2016年の電力小売全面自由化以降に電力会社は自由に選べるようになっています。電力会社を変更することで気になっていた固定電話に消費している電気代だけでなく、家計全体の電気代を見直す事ができます。電力会社を変更すると、今の電気代と比べてどれくらい安くなるか確認してみましょう。一括比較サイトを利用すると、自分に合った電力会社やプランを見つけることができるかもしれません。一度、試してみるとよいでしょう。