電気代をもっと安くする方法を知りたいと思っている人は多いのではないでしょうか。電気代を下げるための方法として最初に実行すべきことは、電気代の明細を正しく理解することです。電気代の仕組みを理解し、節約のヒントがないか考えてみましょう。この記事では、電気代の明細の見方を詳しく紹介します。
目次
明細の各項目を知ろう
電気代の明細は毎月発行される検針票や請求書などに記載されているのでその月の請求金額の内訳の項目で確認してみましょう。記載されている内容で代表的な種別には契約プラン名・契約アンペア数に加えて、当月と前月の検針指定数と、そこから計算した当月の電力使用量が記載されています。当月の電力使用量の内訳と今月の請求予定金額は大きく掲載されることが多い項目です。
関東エリアに電気の供給を行っている東京電力エナジーパートナーでは、一般家庭向けの標準プランは「従量電灯B」になりますので東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの検針票を参考にしてみましょう。
請求予定金額の内訳には、基本料金、3段階料金制度に基づいて計算された電力量料金、燃料費調整、再エネ発電賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)、適用されている割引などが記載されています。また、昨年同月の電力使用量と増減率は電気の使い方を見直す際に参考になる項目です。燃料費調整単価は月ごとに設定される燃料費調整単価の当月分と前月分、差額を表します。口座振替予定日や、次回の検針予定日も検針票を見れば把握することが可能です。また、電力供給エリアの地区番号と契約ごとに発行されるお客様番号、事業所コードや検針係員も掲載されています。
電気代の内訳と計算方法を知ろう
電気料金内訳の主な要素は「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「適用される割引」の5つです。割引以外の料金を合計して円未満を切り捨てた値に割引を適用すると当月の電気代が決定します。
基本料金
契約プラン(契約アンペア数・ボルトアンペア数)ごとに設定された固定料金です。契約アンペア及びボトルアンペア数があがれば基本料金も高くなる仕組みです。
※関西電力従量電灯Aなどでは、「基本料金」が「最低料金」になります。
東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」
基本料金 | ||
---|---|---|
区分 | 単位 | 料金単価(10%税込) |
10A | 1契約 | 286円00銭 |
15A | 429円00銭 | |
20A | 572円00銭 | |
30A | 858円00銭 | |
40A | 1,144円00銭 | |
50A | 1,430円00銭 | |
60A | 1,716円00銭 |
電力量料金
電力量料金とは電力使用量に応じて課される料金で、電力量料金単価(円/kWh)に1カ月分の電力使用量(kWh)を乗じて計算します。また、多くの電力会社では3段階料金制度を採用しており、電力使用量が増えて第2段階、第3段階に切り替わるごとに電力量料金単価が上がるのです。たとえば、東京電力エナジーパートナーで従量電灯Bという契約プランに加入している場合の電力料金単価は、第1段階(最初の120kWhまで)の19.88円/kWhとなっています。そして、第2段階(120kWh超~300kWhまで)では26.48円/kWh、第3段階(300kWh以上)では30.57円です。
東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」
電力量料金 | ||
---|---|---|
区分 | 単位 | 料金単価(10%税込) |
最初の120kWhまで | 1kWh | 19円88銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 26円48銭 | |
300kWh超過分 | 30円57銭 |
燃料費調整額
発電の燃料費コストの変動を電気代に反映させるものです。過去3カ月間の燃料価格の平均が2カ月後の電気料金に反映されます。燃料費調整単価は、化石燃料をまったく使用せずに発電するプランなどでは燃料費調整がない場合もあります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
電気会社が再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた固定価格買取制度に基づいて買い取る費用を電気契約者が負担するものです。再生可能エネルギーによる発電の促進を目的としています。再生可能エネルギー発電促進賦課金は全国で一律になるように計算されていますが、電力使用量がきわめて大きい事業者については減免する制度もあるのです。
電気代内訳は単身世帯と4人家族でどう違う?
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを基準に、単身世帯と4人家族世帯の電気代を計算してみましょう。単身世帯の電力使用量を1カ月あたり30A・200kWh、4人家族世帯の電力使用量を1カ月あたり40A・400kWh とします。基本料金・電力量料金単価・燃料費調整単価・再エネ賦課金については2020年1月27日現在の価格を基準とし、口座振替割引が適用されるケースの計算です。
※年間の電気代合計は、参考のため年間で使用量に変動はないとしています。実際は夏や冬の使用量は多く、春や秋は少なくなります。
単身世帯の場合
まず、基本料金858.00円+電力量料金(第1段階:120kWh×19.88円=2,385.60円)+(第2段階:80kWh×26.48円=2,118.40円)=5,362.00円となります。燃料費調整額は-2.06円×200kWh=-412.00円です。また、再生可能エネルギー発電促進賦課金は2.95円×200kWh=590.00 円となります。ここまでを足し算すると5,362.00円-412.00円+590.00円=5,540.00円です。小数点以下がある場合は切り捨てとなります。この電気料金に口座振替割引の55円を引いた額の5,485円(税込)が1か月の電気代請求金額になります。
単身世帯:30A 200kWh使用の場合 | ||
---|---|---|
基本料金(30A) | 858.00円 | |
電力量料金 | 1段階 | 2,385.60円 |
2段階 | 2,118.40円 | |
燃料費調整 | -412.00円 | |
再エネ発電賦課金 | 590.00円 | |
口座振替割引 | -55円 | |
1か月の電気代合計 | 5,485円 | |
年間の電気代合計(参考) | 65,820円 |
4人家族世帯の場合
基本料金1,144.00円+電力使用量料金(第1段階:120kWh×19.88円=2,385.60円)+(第2段階:180kWh×26.48円=4,766.40円)+(第3段階:100kWh×30.57円=3,057.00円)=11,353.00円となります。燃料費調整額は-2.06円×400kWh=-824.00円です。再生可能エネルギー発電促進賦課金は2.95円×400kWh=1,180円となります。以上を合算すると11,353.00円-824.00円+1,180.00円=11,709.00円となります。小数点以下がある場合は切り捨てとなります。この電気料金に口座振替割引の55円を引いた額の11,654円(税込)が請求金額となります。
4人家族世帯:40A 400kWh使用の場合 | ||
---|---|---|
基本料金(40A) | 1,144.00円 | |
電力量料金 | 1段階 | 2,385.60円 |
2段階 | 4,766.40円 | |
3段階 | 3,057.00円 | |
燃料費調整 | -824.00円 | |
再エネ発電賦課金 | 1,180.00円 | |
口座振替割引 | -55円 | |
1か月の電気代合計 | 11,654円 | |
年間の電気代合計(参考) | 139,848円 |
WEB明細も活用しよう!
電力自由化以降、大手の電力会社でもWEB明細で電気代請求額の内訳が確認できるようになっています。電気プランによっては対応していない場合もありますが自分が契約しているプランがWEBで閲覧できるか確認してみましょう。紙の検針票や請求書をなくしてしまい電気代の明細が分からなくなってしまった場合でもWEB明細であれば過去の電気の使用量・料金を確認することが可能です。新電力会社によっては、検針票の発行がなく請求書や明細書はWEBのみで確認するという会社も増えてきています。
電気代には燃料費調整額や再エネ発電賦課金など燃料費や国の制度で決められている費用が含まれている事を初めて知る人もいるでしょう。電気代の内訳を理解できるようになると電気を使いすぎていると感じることもあるのではないでしょうか。電気代の仕組みや明細内容を理解できるようになると電気をこまめに消すことを心がけるようになるなど毎日使う電気への節約意識が高まるきっかけになるかもしれません。しかし、電気の使い方を見直し節約を意識することも大切ですが、電気代を安くするには電力会社を変更してみる事をお勧めします。電力会社を変更することで今と変わらない電気の使い方で電気代を安くできる可能性が大きいです。今より自分に合ったプランが見つかるかもしれないので、一括比較サイトなどを利用し他の電力会社と比較を行ってみるとよいでしょう。比較を行う際には検針票や請求書などの電気代の明細が手元にあると正確に比較できるため準備しておくとよいです。
この記事のまとめ
検針票に記載された明細を見れば電気代請求額の内訳を確認することができます。明細で確認できる電気代の内訳から電気代の仕組みを理解しましょう。電気代の仕組みを理解することで節約のヒントが見つかるかもしれません。
- 検針票や請求書に記載の電気代請求額の内訳明細を確認しよう
- 基本料金や電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金を理解しよう
- 電気代の計算方法を理解し電気代節約の方法を探ろう
- 電気代を安くするには、電力会社の変更が一番近道である
毎月請求されている電気代は検針票や請求書に請求額の内訳が記載されていることが多いです。電気代の仕組みを理解し電気の使い方を工夫することで節約につなげられるでしょう。また、電気代を安く抑えるには電力会社を変更するのも有効です。一括比較サイトなどを利用しどのくらい電気代が節約できるか確認してみましょう。