ブレーカーがよく落ちるという場合、どんな原因が考えられるのでしょうか。実はブレーカーにはいくつか種類があり、それぞれ役割も異なれば落ちる原因も違います。ここでは、ブレーカーの種類と落ちる原因、また落ちたときの対処法などについて解説します。
目次
ブレーカーは3種類!違いを覚えておかないと困るかも?
見かけは同じように見えても、実はブレーカーは3つの種類に分けられます。「安全ブレーカー」「漏電ブレーカー」「アンペアブレーカー」の3つは、それぞれ役割が異なり、機能も違うため、詳しく知っておかないともしものときに困ってしまうかもしれません。
ブレーカーが落ちたときも、種類によって対処方法は異なります。まずは、自宅のブレーカーの設置場所を確認してみましょう。3つのブレーカーは一般的に分電盤という箱に1つにまとまって、玄関や台所、洗面所などの場所の壁の上に設置されている事が多いです。自宅のブレーカーを確認したら、ブレーカーの種類について知っておき、それぞれの正しい対処法を覚えておきましょう。
【分電盤】
使い過ぎると落ちる!安全ブレーカーの役割と落ちたときの対処法
右端にある小さなつまみが並んだ部分を「安全ブレーカー」といいます。安全ブレーカーの役割は、主に電気の使い過ぎを防ぐことです。各部屋に流れる電流を調整しており、電気の使い過ぎや故障などを感知して安全に電気を使えるように作動しています。安全ブレーカーは上下2段になっているものが一般的です。
それぞれのつまみは各部屋や各空間に分かれており、つまみの下を見るとそのブレーカーがどの部屋・どの空間につながっているのかが書かれています。各部屋・各空間にブレーカーが分かれているため、安全ブレーカーは分岐ブレーカーや分岐スイッチなどと呼ばれることもあります。小さいアンペアの場合、安全ブレーカーが1段しかないタイプもあるため、自宅の安全ブレーカーがどうなっているのかまずは確認してみましょう。
安全ブレーカーが落ちてしまったとき、まずチェックするべきはどこのブレーカーが落ちたのかということです。落ちている場所のブレーカーを上げれば、すぐにでも電気を使えるようにできるでしょう。しかし、安全ブレーカーが落ちる原因は、ほとんどが電気の使い過ぎです。同じような電気の使い方をしていれば、安全ブレーカーはまたすぐ落ちてしまいます。そのため、安全ブレーカーが頻繁に落ちるという場合は、電気の使い方を見直してみることが大切です。
特にキッチンは電気をたくさん消費するため、安全ブレーカーが落ちやすい場所だといえます。たとえば、電子レンジと炊飯器を一緒に使わない、炊飯器を使っているときは電気ポットではなくガスでお湯を沸かすなど、一度に電気を使すぎない工夫をしてみましょう。ただし、もし漏電ブレーカーも一緒に落ちてしまっている場合は、自分で復旧させようとするのは危険です。その場合は、必ず電気工事店や電力会社に連絡して修理をお願いするようにしましょう。
感電や火災の危険も!漏電ブレーカーとはどんなもの?
電気回路の外部に電気が漏れてしまう現象を漏電といい、漏電した家電製品を使用していると感電や火災を誘発することもあるため注意しなければなりません。一般の家電製品には漏電を防ぐ機能が備わっていますが、経年劣化などで機能が落ちると漏電しやすくなってしまうことがあります。こうした漏電を防ぐためにあるのが「漏電ブレーカー」です。
漏電ブレーカーは安全ブレーカーの左側に位置しています。赤と黄色の2種類のつまみが並ぶように併設されたものが一般的です。漏電ブレーカーの役割は、家電製品が漏電を起こした際に電気の供給を強制的にストップすることです。漏電ブレーカーがしっかり作動していることで、もしものときでも火災や感電などの大きな事故を防ぐことができます。
万が一、漏電ブレーカーが落ちていた場合、それはどこかで漏電が発生している可能性があります。雷によるショックなどで漏電ブレーカーが落ちるときもあります。本当に漏電しているのか、どこで漏電しているのか事前にチェック方法を確認しておくとよいでしょう。
漏電箇所の特定方法
漏電が原因でブレーカーが落ちている場合があります。漏電の場合は、漏電している箇所を特定し、その箇所についてコンセントからプラグを抜いて電気工事事業者に連絡しましょう。
漏電している箇所の特定方法は次の通りです。
- アンペアブレーカー(主幹ブレーカー)を「入」、安全ブレーカー(分岐ブレーカー)を全て「切」にし、漏電ブレーカーを「入」にする。
- 安全ブレーカーを一つずつ「入」にしていく。
- 安全ブレーカーを「入」にして、漏電ブレーカーが切れた場所が漏電している場所です。
- 特定した場所の電化製品のコードなどに破損がないかなどを調べましょう。
- 他の場所でも漏電していないか、すべての安全ブレーカーで確かめる。
東京電力ホールディングスの案内ページにも確認方法が掲載されています。漏電が確認された場合は、危険であるため、すぐにでも対処することが大切です。ただし、慣れていない人が自分で復旧しようとするのは危険を伴います。悪くすると事故につながることもあるため、発見したらまずは安全ブレーカーをすべて落とし、すぐさま電気工事店や電力会社に連絡して修理してもらいましょう。
アンペアブレーカーは契約の目安!よく落ちる場合は変更しよう
1度に使用できる電気の量は、電力会社との間で交わした契約アンペアによって決まっています。この契約アンペアを超えて1度に大量の電気を使ったとき、落ちてしまうのが「アンペアブレーカー」です。アンペアブレーカーは漏電ブレーカーの左側に位置しており、ブレーカーの中でも1番大きくて目立ちやすいブレーカーです。
大きなつまみのすぐ上には数字とアルファベットの「A」という文字が書かれており、この数字が契約しているアンペアの大きさを表しています。たとえば、「30A」と書かれていれば30アンペア、「50A」なら50アンペアといった具合です。これが家全体で使える電力量の目安となっています。ときには、契約ブレーカーやサービスブレーカーと呼ばれることもあるので覚えておきましょう。
アンペアブレーカーが落ちる主な原因は、契約アンペアを超えて電気を使用することです。もちろん、アンペアブレーカーが落ちても、つまみを戻せば電気自体はすぐに復旧可能です。
アンペアブレーカーが落ちるのはなぜ?
契約アンペアを超えて電気を使用することがアンペアブレーカーが落ちてしまう主な原因だと紹介しましたが、多くは下記のような使い方や理由でアンペアブレーカーが落ちる事がほとんどです。
電化製品の同時使用で契約アンペアを超えた電気を一度に使う
電化製品を同時に使いすぎることがアンペアブレーカーが落ちる主な原因です。電力会社と契約しているアンペア数を超える電流が流れた場合、ブレーカーは落ちる仕組みとなっています。
契約しているアンペア数はブレーカーや検針票などに記載があります。例えば、契約アンペア数が20Aだった場合、20Aより大きな電流が流れればブレーカーが落ちることになります。
20Aではイメージがわかないと思いますので、消費電力に直してみます。日本の一般的な家庭は100Vの電力を利用していますので、20A×100V=2000Wが一度に使える消費電力の限度です。この場合、消費電力が1200Wの電子レンジとドライヤーを同時に使用すると、合計の消費電力が2400Wとなり契約アンペア数(20A)以上の電流が流れるため、ブレーカーが落ちます。
(正確には、力率を考慮する必要がありますが、どの程度使えるかのイメージに使う分には十分です。)
アンペアブレーカーを落とさないために
アンペアブレーカーを落とさないようにするためには、電化製品の同時使用を契約アンペア数以内に抑えることです。消費電力が高い電化製品を同時に使わないようにすることで、ブレーカーが落ちるのを回避することができます。
消費電力が大きい電化製品の例です。これらの電化製品を同時に使用する際は、ブレーカーが落ちないように注意しましょう。30Aで契約している家庭で下記の表の電子レンジと洗濯乾燥機(乾燥時)を同時に使うと同時に31Aの電流が流れることになるのでブレーカーは落ちてしまいます。
電化製品 | 消費電力 | アンペア※ |
---|---|---|
自動食器洗い機 | 1300W | 13A |
ドライヤー | 800W~1200W | 8A~12A |
電子レンジ | 1200W | 12A |
電磁調理器(卓上) | 1200W | 12A |
洗濯乾燥機(乾燥時) | 1900W | 19A |
掃除機 | 1000W | 10A |
※アンペア数は、消費電力(W)÷電圧(V)で求める事ができます。正確には、力率を考慮する必要がありますが、どの程度使えるかのイメージに使う分には十分です。
アンペア数を見直すという方法
アンペアブレーカーが何度も落ちてしまうという人は、日常で使用する電力量に契約アンペアが見合っていないことになります。その場合は、アンペア数の変更を検討すると良いでしょう。契約アンペアを大きくすれば、アンペアブレーカーを落とさずに電気をたくさん使えるようになりストレスなく電化製品を使えるようになるはずです。
契約アンペア数を大きくすると契約する電力会社によっては基本料金が高くなります。多くの電力会社で契約アンペア数によって基本料金が決められており、電気代が高くなってしまいます。家族が増えたり、子供が大きくなったりなどで家族構成やライフスタイルの変化で電気の使い方も変わってきます。ブレーカー数が合っていない場合は変更しましょう。電気代が高くなってしまう事が心配な場合はアンペア数を変更し、電気プランを電気代が安くなる電力会社に変更することも考えてみましょう。
アパートやマンションなどの集合住宅に住んでいる人は、建物単位でアンペア数が決まっており、許可なく変更できないようになっていることもあります。ですから、アンペア数を変えたいときは、電力会社に連絡する前に建物のオーナーに許可を取ることが大切です。許可を得られたら、あらためて電力会社に連絡して、契約アンペアを変えられるかどうか確認してみましょう。
この記事のまとめ
ブレーカーは大きく分けて3種類あり、それぞれ役割が異なります。電気の流れを遮断する時にブレーカーが落ちる現象がおきますが、ブレーカーは電気の使い過ぎや漏電を防ぐことで、火災などのリスクを回避する役割があります。
- 安全ブレーカーは電気の使い過ぎを制御しており、一般的に上下2段になっている
- 漏電ブレーカーは漏電を防ぐ機能を備えているが、落ちた時は漏電の有無を確認し、漏電の場合は電気工事店や電力会社に連絡
- アンペアブレーカーは契約アンペアによって決まっており、契約アンペア以上の電気を使うと落ちる
頻繁にブレーカーが落ちるという場合、まずブレーカーの種類を知って適切な対処を講じることが大切です。もし、電気の使い過ぎでブレーカーが落ちているなら、契約アンペア数を変更することが根本的な解決につながります。ただ、契約アンペアを大きくすれば、その分だけ電気代は上がってしまうでしょう。そのため、契約アンペアを変えるなら、電力会社の変更も視野に入れておくべきです。電力会社を変更すれば、電気代が下がることもあるので、契約アンペアが大きくなっても安心して電気が使えます。