洗濯機の乾燥方法は、ヒーター式とヒートポンプ式の2つに大まかに分けられます。それぞれにどのような違いがあるのでしょうか?乾燥方法の仕組みと特徴、そして気になる電気代について、違いをみていきたいと思います。
目次
ヒーター式洗濯乾燥機の仕組み
ヒーター式には「排気タイプ」と「水冷・除湿タイプ」があります。ヒーター式は、ヒートポンプ式に比べ仕組みがシンプルなため本体価格が比較的安いです。本体の重量もヒートポンプ式の洗濯乾燥機よりは軽量なものが多くなります。電気代は、ヒーターで温度をあげるため、ヒートポンプ式よりも高くなります。使った電気は熱となるので省エネ性は低いといえるでしょう。
排気タイプ
ヒーター式洗濯乾燥機(排気タイプ)は、乾燥機内のヒーターで洗濯物を乾燥させるタイプの乾燥方式です。ヘアドライヤーと同じで、電気を熱に変えることによって温風を作り、洗濯槽に追風を送ることで洗濯物を乾燥させます。上からドライヤーで乾かすようなイメージです。
乾燥時に出た水蒸気はそのまま機外へ排気します。そのため、部屋の温度や湿度が高くなる傾向にあります。温度が上がりすぎる事がないため高温で乾燥を行う水冷・除湿タイプに比べ衣類の痛みや縮みが少ないのが特徴です。
水冷・除湿タイプ
ヒーター式洗濯乾燥機(水冷・除湿タイプ)も、乾燥機内のヒーターで洗濯物を乾燥させる仕組みは同じです。
約80℃前後の高温で乾燥を行い、冷却水で湿気を含んだ温風を除湿します。乾燥の際にかなりの冷却水が必要となり排気タイプより水道代がかかることや乾燥温度が非常に高くなるため、乾燥途中で扉の開閉を行うことはできないことが難点といえます。約80℃前後の高温乾燥のため、タンブル(タンブラー)乾燥ができますが、衣類の痛みや縮みが起こりやすいです。
ヒートポンプ式洗濯乾燥機の仕組み
ヒートポンプとは、エアコンなどにも使用されている、少ない電力で空気中から熱エネルギーを集めて利用する省エネの技術です。エアコンの他にも冷蔵庫や家庭用給湯システムなど身近な家電製品にも取り入れられているシステムです。
ヒートポンプ式の洗濯乾燥機は2005年に新しく登場しました。洗濯機内のヒートポンプにより熱交換した熱を利用して衣類を乾燥させます。湿気を含んだ空気を除湿し、65℃前後の温風で衣類を乾燥させることが可能です。洗濯機の中で除湿機が作動しているようなイメージになります。
ヒートポンプ式は、空気中にすでにある熱を集めて使うので、ヒーター式に比べ効率がよく省エネ性も高くなっています。また、冷却水を使わないので、水の使用量も抑えることができます。さらに、乾燥温度が高いヒーター式に比べ、ヒートポンプ式の乾燥温度は65℃前後と低めなので衣類の傷みや縮みも抑えることができます。
その他にも、ヒーター式は乾燥温度が高いため運転途中の扉の開閉はできませんでしたが、ヒートポンプ式は低温であるため運転の最中でも扉の開閉が可能です。
ヒーター式とヒートポンプ式の電気代の違い
乾燥方式の違う洗濯乾燥機ではどれくらい電気代に違いが出るのでしょうか。洗濯から乾燥までを行った場合のヒーター式とヒートポンプ式における電気代の違いを見てみましょう。
洗濯乾燥機はカタログ等に消費電力量の記載があるので、この数字を用いて計算します。商品カタログなどに電気代目安が記載がされている場合は27円/kWhで計算されています。
電気代の計算方法
消費電力量(Wh)÷1000×1kWhあたりの電気代
※目安:1kWh=27円
6キログラムの洗濯物をヒーター式のタテ型洗濯乾燥機で洗濯から乾燥まで行った場合の消費電力量は約2,550Whなので、1回の洗濯から乾燥にかかる電気代は、2,550÷1000×27=68.85円となります。
一方、同量の洗濯物をヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機で洗濯から乾燥まで行った場合には、消費電力量は約890Whとなり、890÷1000×27=24.03円と計算できます。ヒーター式の方が2.8倍の電気料金がかかることが分かります。
洗濯のみをする場合は、ヒート式とヒートポンプ式の洗濯機ではほとんど違いがありませんが、洗濯から乾燥までを行うと乾燥時の電気料金が大きく異なります。
ただし、ヒーター式であっても日立のヒートリサイクル乾燥では、運転時に発生する熱を回収して乾燥時に再利用するので、消費電力量を抑えることができ、ヒートポンプ式と変わらない電気代で利用することができます。
【洗濯乾燥機の比較】
メーカー | 型番 | 種類 | 乾燥の種類 | 洗濯・脱水容量 / 乾燥容量 | 消費電力量 定格洗濯時 / 定格標準乾燥時(標準) |
電気代 洗濯時 / 乾燥時 |
---|---|---|---|---|---|---|
Panasonic | NA-FW120V5 | タテ型 | ヒーター乾燥(水冷保湿タイプ) | 12kg / 6kg | 98Wh / 2,550Wh | 約2,64円 / 約68,85円 |
Panasonic | NA-VX900BL | ドラム式 | ヒートポンプ乾燥 | 11kg / 6kg | 68Wh / 890Wh | 約1,83円 / 約24.03円 |
日立 | BD-SX110FL | ドラム式 | ヒートサイクル乾燥 | 11kg / 6kg | 66Wh / 850Wh | 約1.78円 / 22.95円 |
また、消費電力は、洗濯機は、温水などの水温、水道水圧、設置環境や排水条件、衣類の量や種類、衣類の片寄りなどにより軽減するためおおよその値になります。
洗濯機の電気代節約方法
ほとんどの人が洗濯機は毎日のように稼働させるのではないでしょうか。洗濯物は毎日出るものですから、洗濯機の電気代は少しでも節約する方が望ましいです。毎日、乾燥までしてしまうと電気代は当然高くなります。乾燥機を上手に活用することが節約につながります。例えば、ある程度は自然乾燥させ、仕上げに乾燥機でパリッと乾かす方法でもよいですし、十分に脱水で水分を切ってから乾燥させると電気代は安く済みます。
効率よく乾燥させるためには、厚手のものと薄手のものは分けて乾燥させるほうがよいでしょう。一度に乾燥機に入れてしまうと乾燥時間が長くなったり、乾き方にムラが生じてしまったりするので一度に詰め込むことは避けましょう。
また、洗濯機のお手入れも電気代に関係しています。フィルターにゴミや汚れが詰まった状態で使用していると、乾燥時間が長くなり電気代の無駄です。定期的に正しい方法でのお手入れを行うことが大切になります。
その他にも、電力会社の変更で電気代を安くすることができます。電力自由化により、一般家庭でも契約先の電力会社を自由に選べるようになりました。適切な電力会社の料金プランを選ぶことで、家庭の電気料金を安くすることができます。当サイト電気の比較インズウェブを利用して、電力会社を切り替えた人は年間で約1万3千円(※)電気代が安くなっています。検針票があれば電力会社の比較ができますので、まずは一度、シミュレーションを試してみることもおすすめします。
※2018年1月利用者の想定電気代節約額の中央値。金額に燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金、キャンペーン金額等は含まれていない。
消費電力を抑えて電気の節約をできる洗濯機を選ぼう
洗濯機のみならず、家電製品は消費電力が大幅に改善されたものが次々と発売されています。買い替えの時期にあるのならば、消費電力を確認するだけでも電気代の節約につながります。特に、毎日使う洗濯機は、乾燥方法で水道代と電気代に大きな違いが出てきます。
省エネ性が高い洗濯乾燥機はどうしても本体価格は高くなってしまいますが、水道料や電気料は大幅に削減することが可能です。ただし、いくら省エネ性が高くても使い勝手が悪くては困ってしまいます。毎日使うものですから、使い勝手がよく、なおかつ省エネ性も高いものが望ましいでしょう。そのため洗濯乾燥機を選ぶ際には、省エネや静音性、使い勝手なども合わせて比較検討することをおすすめします。
この記事のまとめ
ヒーター式とヒートポンプ式の洗濯機の違いについて紹介しました。ヒートポンプ式の洗濯乾燥機は新しい機種であればあるほど省エネ効率が高くなっています。しかしながら乾燥機となると他の家電に比べ消費電力は高い傾向にあります。家庭の洗濯機の使用頻度や用途に合わせて上手に選択することで適切な機種を選ぶことができるでしょう。
- ヒーター式(排気タイプ)は、乾燥時に出た水蒸気をそのまま機外へ排気するため周囲の温度や湿度が高くなる
- ヒーター式(水冷・保湿タイプ)は、高温のヒーター乾燥のため衣類の痛みや縮みが起こりやすい
- ヒートポンプ式は少ない電力で空気中の熱エネルギーを集め乾燥させるため省エネ効率が高く電気代が安い
梅雨の時期などは洗濯乾燥機を利用したくなりますが電気代が心配です。電気代を節約しながら、便利な洗濯乾燥機をするためには電気プランの見直しを行ってみる事をおすすめします。電力自由化以降に電力料金単価の安いプランを出す電力会社がたくさん登場しています。自分の家庭の電気の使い方にあった電気プランを選ぶことで今よりも電気代を安くすることができるかもしれません。自分にあった電力会社探しには一括比較サイト を利用すると便利です。ぜひ、利用してみましょう。