2018年7月1日に関西電力の電気料金が値下げされました。また、2020年10月にも「従量電灯A」「従量電灯B」「低圧電力」プランに契約するユーザーを対象に電気代が値下げされています。それぞれの値下げの理由と、どれくらい安くなったのか紹介します。
目次
電気代が値下げとなった理由
電気代が値下げとなった理由
2018年7月の関西電力の電気代値下げの背景には原子力発電所の再稼働があります。
関西電力の事業地域に送電しているのは大飯発電所です。大飯発電所には1号機から4号機までありましたが、1、2号機は2017年に廃炉となることが正式に決定しました。残る3、4号機も停止や再稼働を過去数回にわたって繰り返してきたことで、電力の供給が安定しない時期があり、関西電力では2度の値上げが行われました。
しかし、2018年3月に再稼働した3号機に加えて、4号機も5月上旬に再稼働、6月上旬には営業運転しています。この2基の再稼働による火力燃料費等の削減分や経営効率化の深掘りなどを電気料金に反映されるようにしたことが、2018年7月の電力量料金単価の引き下げにつながったのです。
2017年度の平均4.29%の値下げに続き、2018年7月1日から平均5.36%値下げとなります。この値下げ後の電気料金は、過去に2度行われた値上げ前とほぼ同じ水準に戻ることになります。このタイミングでの値下げには、発電機の再稼働の時期などの理由もありますが、電気使用量の多くなる夏場に間に合うようにという配慮もあります。
2020年10月
2020年10月の値下げには、東日本大震災による福島の原子力発電所の事故が関係しています。各電力会社は、原子力発電所の廃炉関連費用を負担しています。原子力発電所の廃炉には多額の資金が必要となることが想像できます。廃炉に必要な費用は規制料金(経過措置料金「従量電灯Aなど」)から回収していましたが、規制料金撤廃の動きがあるため、託送料金として電気の需要家全員から回収するようになっています。
そのため、規制料金からは廃炉円滑化負担金相当の金額が原価から減額となります。本来は、託送料金がその分値上げとなるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて託送料金の値上げを1年延期とすることとなりました。減額だけが反映されたため規制料金のプランでは電気代が値下げとなったのです。
家庭向け料金プラン「従量電灯A」の場合はいくら安くなる?
2018年7月に行われた値下げでは、平均5.36%の値下げ、2019年10月に消費税の値上げがありましたが、2020年10月の値下げでは、平均0.70%の値下となっています。
関西電力の「従量電灯A」は家庭向けの一般的な料金プランです。15kWhまでは一律の最低料金があり、それ以上の使用になると使用量によって電力量料金単価が異なる3段階の料金制度になっています。
2018年の値下げ時には、「第1段階」の電力料金単価は、使用量が15kWhをこえ120kWhまでの1kWhの値下げ前単価が「20.33円」に対し値下げ後は「19.95円」になりました。「第2段階」は使用量が120kWhをこえ300kWhまでとなっており、1kWhの単価は値下げ前が「26.76円」に対し値下げ後は「25.33円」となります。「第3段階」は使用量が300kWhを超過した分が対象で、1kWhの単価は値下げ前が「30.51円」に対し値下げ後は「28.76円」に変更になっています。
2020年10月に行われた値下げにより、9月まで15kWhまでの最低料金が「341.02円」が0.01円値下げとなり「341.01円」になりました。「第1段階」も0.01円の値下げで「20.32円」が「20.31円」になり、「第2段階」は「25.80円」が「28.70円」、「第3段階」は「29.29円」が「28.70円」に変更になっています。
例えば、1か月の電気使用量が260kWだった場合に、2018年7月の値下げでは8%の消費税込の価格で、電気代が燃料費調整などを含め「6,917円」だった人は「6,675円」に安くなっており、2020年10月の値下げでは10%の消費税込の価格で、「6,600円」だった人が、「6,586円」になります。
商店や事業所向けのプラン「従量電灯B」の場合は?
「従量電灯B」も「従量電灯A」と同じく2018年7月に行われた値下げでは、平均5.36%の値下げ、2019年10月に消費税の値上げがありましたが、2020年10月の値下げでは、平均0.70%の値下となっています。
「従量電灯B」は商店や事業所、飲食店などで一般的に使われている料金プランです。料金内容は契約容量に応じた「基本料金」と、使用量によって電力量料金単価が異なる3段階の料金制度となっています。今回の値下げの対象となっているのは「電力量料金単価」のみで、基本使用料は1kVAにつき「388.80円」のまま値下げされません。
電力量料金単価は「第1段階」は使用量が最初の120kWhまでとなっており、1kWhの単価は値下げ前が「17.97円」に対し値下げ後は「17.59円」になります。「第2段階」は使用量が120kWhをこえ300kWhまでとなっており、1kWhの単価は値下げ前が「22.25円」に対し値下げ後は「20.82円」です。「第3段階」は使用量が300kWhを超過した分が対象で、1kWhの単価は値下げ前が「25.52円」に対し値下げ後は「23.77円」でした。
例えば、契約容量が11kVAで1カ月の電気使用量が1,180kWhだった場合には、基本料金「4,276.80円」や燃料費調整額などを含めると2018年7月の値下げでは8%の消費税込の価格で、「36,263円」です。同じ条件で値下げ後の料金を計算すると「34,420円」となり、1,843円安くなります。2020年10月の値下げでは10%の消費税込の価格で、「34,157円」ですが、「33,630円」になり、527円の値下げです。
電気とガスのセットプラン「なっトクでんき」では?
「なっトクでんき(なっトクパック)」は関電ガスのなっトクプランとセットで使う、主に家庭向けの料金プランです。2018年の値下げでは、従量電灯Aと同様、15kWhまでは一律の最低料金があり、それ以上の使用になると使用量によって電力量料金単価が異なる3段階の料金制度になっています。最低料金は「281.15円」から「279.82円」の値下げでした。
電力量料金単価は「第1段階」は使用量が15kWhをこえ120kWhまでとなっており、1kWhの単価は値下げ前が「20.32円」に対し値下げ後は「19.94円」です。「第2段階」は使用量が120kWhをこえ300kWhまでとなっており、1kWhの単価は値下げ前が「24.79円」に対し値下げ後は「23.66円」となります。「第3段階」は使用量が300kWhを超過した分が対象で、1kWhの単価は値下げ前が「29.11円」に対し値下げ後は「27.29円」となります。
例えば、1カ月の電気使用量が260kWhだった場合に、2018年7月の値下げでは8%の消費税込の価格で、電気代が燃料費調整などを含め「6,639円」だった人が同じ条件で値下げ後の料金を計算すると「6,439円」となり、200円安くなります。
関西電力の電気とガスのセットプランは、関西電力の「なっトクでんき」に契約している人が対象となるため、2020年の値下げでは影響がありません。
この機会に電力会社の見直しを!
このような関西電力による電気料金値下げを受けて、ほかの電力会社も対抗して値下げする動きが出ています。よりお得な電力会社がないのか、この機会に電気の契約を見直してみてはいかがでしょうか。
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