同じ電力会社の同じ料金プランの場合、電気の使用量が同じなら、電気代も同じになると思っていませんか?実はこれ、間違いなんです。仮に、今月(2018年3月)の電気使用量が、昨年(2017年3月)と同じであった場合、電気代は今年の方が少し高くなります。これはどうしてなのでしょうか。電気代の仕組みから探っていきます。
電気代計算の仕組み
皆さんが契約している電力会社の料金プランの多くについて、電気代は、大まかに基本料金(または最低料金)、電力量料金(従量料金)、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の4つから計算されています。
電気代=基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金
基本料金は、契約しているアンペア数(またはkVA数)によって毎月固定でかかる金額です。関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力ではアンペア数による基本料金の代わりに、最低料金という制度になっています。月に3kWhなどごく少量しか使っていなくても、定められた分の最低料金の請求が発生します。
電力量料金は、電気の使用量に応じて発生する従量料金です。一般的にイメージする電気代はこの部分だと思います。電気使用量が少なくなれば金額も小さくなり、使用量が多くなれば高くなります。次に紹介する燃料費調整額も含んで電力量料金とする場合も多いですが、わかりやすさのために別建てとしています。
燃料費調整額は、発電の燃料となる石炭・原油・LNGの価格の変動を電気代に反映するための項目です。各電力会社で定めている基準の燃料価格と過去3か月分の燃料価格の平均の差異を2か月後の電気料金に反映する仕組みとなっています。例えば、1月~3月の燃料価格が6月に反映され、2月~4月の燃料価格が7月に反映されるという具合です。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、字の通り、太陽光などの再生可能エネルギーによる発電を促進するために電気使用者が電気使用量に応じて負担する金額です。地球温暖化防止や日本のエネルギー自給率の改善のため、2012年から導入されました。この項目で集められたお金は、再生可能エネルギーで作られた電気を電力会社が買い取る際の費用の一部に充てられます。
この4項目のうち、燃料費調整額と再エネ賦課金は昨年と比べて値上がりしています。従って、電気使用量が同じであっても今年の電気代は昨年の電気代よりも高くなっているのです。
燃料費調整単価の比較
大手電力10社(北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)のうち、2017年8月利用分から基準燃料価格を変更した関西電力を除く9社について、昨年3月分と今年3月分、昨年4月分と今年4月分の燃料費調整単価を比較します。燃料費調整額は、燃料費調整単価×電気使用量で決められています。
燃料費調整単価は、家庭向けの多くの方が契約している従量電灯Bあるいは従量電灯Aに適用されているもので比較します。
電力会社 | 2017年3月分 | 2018年3月分 | 差額 |
---|---|---|---|
北海道電力 | -2円93銭 | -1円62銭 | +1円31銭 |
東北電力 | -2円19銭 | -1円15銭 | +1円04銭 |
東京電力EP | -4円04銭 | -2円83銭 | +1円21銭 |
中部電力 | -4円99銭 | -3円98銭 | +1円01銭 |
北陸電力 | -0円70銭 | +0円17銭 | +0円87銭 |
中国電力 | -1円69銭 | -0円48銭 | +1円21銭 |
四国電力 | -1円48銭 | -0円44銭 | +1円04銭 |
九州電力 | -2円09銭 | -1円21銭 | +0円88銭 |
沖縄電力 | -2円29銭 | -0円59銭 | +1円70銭 |
電力会社 | 2017年4月分 | 2018年4月分 | 差額 |
---|---|---|---|
北海道電力 | -2円49銭 | -1円43銭 | +1円06銭 |
東北電力 | -1円82銭 | -1円00銭 | +0円82銭 |
東京電力EP | -3円63銭 | -2円55銭 | +1円08銭 |
中部電力 | -4円63銭 | -3円78銭 | +0円85銭 |
北陸電力 | -0円36銭 | +0円27銭 | +0円63銭 |
中国電力 | -1円23銭 | -0円34銭 | +0円89銭 |
四国電力 | -1円09銭 | -0円33銭 | +0円76銭 |
九州電力 | -1円78銭 | -1円07銭 | +0円71銭 |
沖縄電力 | -1円64銭 | -0円37銭 | +1円27銭 |
各電力会社とも、昨年と比べると燃料費調整単価が1円前後値上がりしていることが分かります。仮に、1カ月の電気使用量が300kWhであった場合、300円前後電気代が高くなっていることを意味しています。
これは、昨年と比べて原油価格やLNG価格が上昇していることを反映してのものです。昨年と比べて燃料価格が下がっていれば、燃料費調整額も値下がりします。例えば、シェールガスの開発などで燃料価格が低く推移した2016年などは、2015年と比べて燃料費調整額が値下がりしていました。
再エネ賦課金の比較
電気代が昨年と比べて高くなっているもう一つの要因である再エネ賦課金を比較します。再エネ賦課金は全国一律の単価が決められていて、その単価×電気使用量の分だけ電気料金として徴収されています。電力会社による違いはありません。
再エネ賦課金は、2012年度に導入されましたが、太陽光発電などの再エネで発電した電気の買い取り費用を高額に設定したことから、太陽光発電で発電した電気の売電が想定よりも増え、それに伴い、再エネ賦課金も当初想定より急速に高くなっています。
年度 | 再エネ賦課金単価 |
---|---|
2012年度 | 0.22円/kWh |
2013年度 | 0.35円/kWh |
2014年度 | 0.75円/kWh |
2015年度 | 1.58円/kWh |
2016年度 | 2.25円/kWh |
2017年度 | 2.64円/kWh |
2018年度 | 2.90円/kWh |
※年度は5月始まり
昨年度の再エネ賦課金単価は2.25円/kWh、今年度の再エネ賦課金単価は2.64円/kWhなので、月に300kWh電気を使用する家庭の場合、月に117円電気代が値上がりしていることとなります。また、5月からは2.90円/kWhへとさらに単価が上がります。
電力会社を変えて電気代を安くしよう
電気代は、燃料価格の高騰と再エネ賦課金の上昇のために、昨年より高くなっています。そこで、電気代を安くするのにおすすめなのが電力会社の変更です。燃料費調整単価は電力会社を変更しても変わらない場合が多く、再エネ賦課金はどの電力会社でも同じではありますが、基本料金・電力量料金の部分が安くなり、電気代を安くすることができます。
電力会社を変更しても、電気は今までと同じように使うことができます。新しい電力会社だからといって、停電が増えたり電圧が不安定になったりということはありません。各電力会社が供給している電気は区別されることなく、各家庭に送配電線を通って届けられているので、実は今も新しい電力会社が供給している電気の一部を使っているのです。
電力会社を変更するといっても、どのような選択肢があるのか知らない方がほとんどだと思います。そこで、当サイト「電気の比較インズウェブ」の電気料金比較サービスを使うと便利です。1か月分の検針票に記載されている内容から、電気代が安くなる電力会社を探すことができます。さらに、提携している電力会社に申し込むとギフト券のプレゼントなどがあります。この機会に一度利用してみてください。