現代の生活環境では、電気を使わない生活は考えられません。家庭での電気の消費量は増えるばかりですが、電化製品一つ一つにはどのくらいの電気代がかかっているのでしょう。その計算方法や毎月の電気代について説明します。
家庭の家電の電気代計算方法
家庭の家電の電気代の求め方は下記になります。
【電気代の求め方】
電気料金(円)=消費電力(kW)×使用時間(h)×1kWhあたりの電気料金(円/kWh)
※()内は単位です。消費電力の単位:kW(キロワット)は1000Wに等しいです。
今使っている家電は、一体どのくらいの電気代がかかっているのだろう?
家庭の1か月に使った電気は、たくさんの電気設備や家電を使って消費した合計の電気使用量を計算して1か月の電気代として請求されています。電気代を節約したいと考えた時に、家電ひとつひとつの電気代が計算できて節約に繋げられたらいいですよね。今、使っている家電の電気代が分かれば、どれを節約すれば電気代を抑えられるのか自分の家庭での電気代節約のヒントが見つかるかもしれません。
電化製品のその家電の電気代を計算する時には、消費電力を調べましょう。電化製品の仕様表示に書いてあります。または、取扱説明書を確認しましょう。ここでは例として、消費電力が500Wの家電の電気料金を計算してみます。それでは、上の式に当てはめてみましょう。
1kWhあたりの電気料金は、実際の検針票を見て電気料金を電気使用量で割った数字を利用するか、27円/kWhを使ってください。27円/kWhは全国家庭電気製品公正取引協議会が「新電気料金目安単価」として示した数値です。カタログなどに載っている電気代は主にこの数値を用いて計算されています。
それでは、1kWhあたりの電気料金を27円とし500Wの家電を1時間使った場合の電気料金を求めたいと思います。
500Wは0.5kWなので(500÷1000=0.5)、計算式に当てはめると
0.5(kW)×27(円/kWh)=13.5円/1時間
と計算できます。
【例題】
■消費電力が270Wのテレビ
270(W)÷1000×27(円/kWh)=7.29円/1時間
■消費電力が100Wのこたつ
100(W)÷1000×27(円/kWh)=2.7円/1時間
■消費電力が30Wのパソコン
30(W)÷1000×27(円/kWh)=0.81円/1時間
毎月の電気代について
毎月の電気代の構成
それぞれの家電の電気計算については、分かりましたね。毎月私たちに請求されている電気代は、家電製品などで家庭で使った電気使用量に電気料金単価を掛けて請求されています。更に、電気代の構成は使った分だけの電気代の他に基本料金、電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金から構成されています。電気料金の計算式は以下の通りです。
【電気代の計算方法】
電気料金=基本料金+電力量料金単価×使用量+燃料費調整単価×使用量+再エネ賦課金単価×使用量
ここで、一つ一つの要素について解説していきます。
基本料金
電気の使用量にかかわらず発生する料金です。多くの料金プランでは契約しているアンペア数、kVA数によって金額が定められています。ただし、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力には基本料金が存在せず、代わりに「最低料金」が設定されています。
電力量料金単価
電気使用量に応じて発生する料金の単価です。多くの料金プランでは使用量に応じた3段階で単価が分かれています。
燃料費調整額
発電に必要な化石燃料の価格変動を電気料金に反映させるための項目です。過去3か月の平均燃料価格が2か月後の電気料金に反映されます。(例えば1~3月の平均燃料価格が6月の電気料金に反映されます)。平均燃料価格が基準燃料価格より高ければ電気料金にプラスされ、低ければ電気料金からマイナスにされます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギーによって発電された電力を電力会社が買い取る際の費用を電気使用者に負担してもらう金額のことです。法令によって単価が定められています。
電力量料金計算の仕方
電気使用量に応じて3段階で単価が分かれている料金プランが多くなっています。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを例としてみると
区分 | 単位 | 料金単価(10%税込) |
---|---|---|
最初の120kWhまで | 1kWh | 19円88銭 |
120kWhをこえ300kWhまで | 26円48銭 | |
300kWh超過分 | 30円57銭 |
となっています。
我が家の使用量は400kWhだから、30.57×400=12,228円だ、というのは間違いです。正しい計算式は
19.88×120+26.48×180+30.57×100=10,209円
となります。
※実際はこれに燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を足して、円未満を切り捨てます。
計算式の意味が分からないという方のために解説します。
120kWhまでの使用分については最初の120kWhまでの単価が適用されます。
もし、月の使用量が120kWhより多い場合には120kWhを超えた分について120kWhをこえ300kWhまでの単価が適用されます。
使用量が300kWhを超えていた場合にはその超えた分について300kWh超過分の単価を適用します。
上の計算式では400kWhのうち、120kWh分については単価19.88円が適用されます。残りの280kWhのうち121kWhから300kWhまでの180kWhについては単価26.48円が適用されます。 そして最後に残っている300kWhを超えた100kWhについて単価30.57円が適用されるのです。
なぜ3段階料金になっているの
3段階なんてなんで計算が面倒な制度になっているのでしょうか。その始まりは実は第一次オイルショックにあります。石油価格が高騰し、省エネルギーが求められたためにより多くの電気を使用したら、より多くの料金を支払う必要があるようにしたのです。
資源エネルギー庁の電気料金の水準によると、3段階料金の単価設定は以下の考え方に基づいて決定されています。
第1段階 ナショナルミニマムに基づく低廉な料金
第2段階 ほぼ平均費用に対する料金
第3段階 限界費用の上昇傾向を反映した料金
難しい言葉が並んでいますので少し解説します。
第1段階にあるナショナルミニマムとは国が保障する最低限の生活水準という意味です。日本国憲法第25条で定められている概念ですね。「健康で文化的な最低限度の生活」のために電気料金単価が安く抑えられています。
第2段階は書いてある通り、実際の費用に近い料金です。この段階が一般的な家庭が通常1か月間に使用する電力量です。
第3段階は発電コストの値上がり分を反映した料金です。省エネを促すためにこの段階の単価は高めに設定されていて、電気料金の値上げ時も大きく単価が上昇します。例えば、東日本大震災後の東京電力の料金値上げ時(2012年)には、第1段階が+0.47円、第2段階が+1.78円、第3段階が+4.42円と第1、第2段階に比べて第3段階が大きく値上げされています。
単価が高い第3段階の使用量をできる限り減らすためにみなさん節電を心がけましょう。
この記事のまとめ
電気代は自分で計算することができます!計算式や毎月の電気代の仕組みを知って節約に繋げましょう。
- 家電の電気代の求め方は、消費電力(kW)×使用時間(h)×1kWhあたりの電気料金(円/kWh)
- 毎月の電気料金の構成は、基本料金+電力量料金単価×使用量+燃料費調整単価×使用量+再エネ賦課金単価×使用量
- 3段階になっている電力量料金単価の3段目が一番高く設定されている
電気代の求め方、毎月の電気代請求の仕組みが理解できたら家庭の電気代の節約に向けて考えてみましょう。こまめに電気を消したり、消費電力の高い電化製品はなるべく使わないようにしたりと電気の節約方法はいくつかあります。しかし、今と変わらない電気の使い方で電気代を安くする方法もあります。それは、電力会社を変更することです。
電力自由化後に登場した新電力会社では、基本料金がない電力会社や電力量料金単価の3段階料金を採用せず、一律の単価に設定している電力会社などいろいろな特徴ある電力会社が登場しています。たくさんある新電力会社から自分に合ったプランを見つけるのは難しいので、今の電気の使い方を入力して一度に自分の住むエリアで電気の販売を行う電力会社を比較できる一括比較サイトなどを利用し電気代の比較を行うことができます。どれくらい電気代が変わるのか確認してみるとよいでしょう。