「電気の窃盗」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。電気は無体物ではありますが、他人が管理している電気を勝手に使用した場合は、窃盗罪として逮捕や罰金刑を科せられる可能性があります。他人の家から電気を盗んで使うことは論外ですが、カフェや施設などにあるコンセントの無断使用も窃盗罪が成立する場合がありますので注意が必要です。今回は、電気窃盗の具体的な事例や、その防止策について解説します。
現代生活では電気は不可欠!ますます高まる電力需要
現代では、インターネットの急速な普及に伴い、非常に多くの人がスマートフォンを持ち歩くようになりました。年代による多少の幅はあるものの、20~30代は90%以上、国民全体では60%以上が所有しています(2017年度総務省の調査より)。家庭内においても、洗濯機・エアコン・TV・電子レンジなどの家電が必要不可欠です。近年では、オール電化住宅やEV車も見かけるようになりました。これらすべては、コンセントや充電器からの電力供給が必要であり、電気がなくては私たちの生活は成り立たなくなっています。
特に、スマートフォンやタブレット・ノートパソコンのような小型の携帯家電では、駅やターミナル・病院といった公共交通機関や施設で充電できる設備も整ってきました。しかし、小型家電の使用が多くなるにつれて、外出先での電力供給のニーズから他人のコンセントから電気を勝手に拝借するという事案も頻繁に起こるようになってきています。しかし、これは犯罪です。では、電気の窃盗に関する刑事罰とはどのようなものでしょうか。
電気の窃盗は刑法235条により罰せられる犯罪です!
他人の家のコンセントから許可なくスマートフォンを充電したり、無断で施設のコンセントを使用した場合、窃盗罪(刑法第235条)「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」に抵触します。悪質と判断された場合は起訴されることもあり、裁判で有罪となれば懲役に服すか罰金刑を受けなければなりません。例え被害額が1円であったとしても逮捕される可能性はあります。「これくらいは大丈夫だろう」といった安易な考えや、「罪になるとは知らなかった」といった言い訳は通用しませんので十分に気をつけましょう。
電気は目に見えず形もないため、盗むという言葉が不思議に感じられるかもしれません。しかし、刑法245条において「電気は財物とみなす」と定められているので、許可なく使用すれば窃盗罪の対象となってしまいます。高い需要があるゆえに、資産価値の高い財物として扱われているのです。電気の窃盗とされる行為は、駅やコンビニ・ショッピングセンター・飲食店でのコンセント使用が代表的なケースです。これらの屋内施設では、掃除や照明用にたくさんのコンセントが目につくでしょう。スマートフォンの電池残量が少なくなると、つい無断で使ってしまいがちですが、許可なくコンセント使用することは「電気の窃盗」に当たるという事を覚えておきましょう。また、トイレのドレッサールームでも備えつけのコンセントがありますが、ここで私物のドライヤーを使いたいというような場合も、管理者にひと声かけて承諾を得る必要があります。
電気窃盗の被害者となるケースでは、マンションや集合住宅での事案が多くなっています。ベランダや玄関先に洗濯機や給湯器設置のコンセントがある物件が多いため、比較的簡単に使われてしまうのです。戸建てであっても油断できません。庭先にコンセントがあれば、延長コードを使って電気が盗まれた事案もあるのです。
電気窃盗罪の事例と被害に遭わないための防止策
電気の窃盗罪で、実際に書類送検となったケースや、隣家から訴えられたケースを紹介します。平成16年に愛知県名古屋市のJR名古屋駅構内で、会社員の男性が清掃用のコンセントを無断使用したとして事情聴取を受けました。使用していたのはたったの5分間、電気代は約1円でしたが書類送検されています。また、京都府木津市では平成26年3月から翌年1月にかけて、隣家の電気を自宅に引いて使ったとして女性が逮捕されています。被害額は約2万2千円。屋外の給湯器用コンセントから延長コードを使用し、エアコンなどに使っていました。隣家の男性が頻繁にブレーカーが落ちるため不審に思って調べたところ、事実が発覚しました。
他人のコンセントから電気を盗む行為は、窃盗罪で逮捕されても処罰を求めない「微罪処分」となることが多く、起訴までされる事例は少ないですが、中には有罪判決が出されたものもあります。気軽に駅やデパートなどのコンセントを利用し電気を使用してしまう事がある人は、電気の無許可使用は行わないようにしましょう。自分の家の電気の無断使用を防止するには、コンセントを安易に使えないような策を講じておくとよいです。家の外壁などの充電できる設備は、コンセントに専用器具でカバーしておくと無断使用防止に効果的です。各メーカーから、施錠できるコンセントカバーが販売されています。さらに、玄関や庭に防犯カメラを取りつけたり、「防犯カメラ作動中」といった防犯シールを貼って掲示するのもおすすめです。防犯意識の高い家だとアピールできれば、相手も容易に電気の窃盗はできません。
この記事のまとめ
刑法245条において「電気は財物とみなす」と定められており、他人のコンセントから電気を無断で使用すると、場合によっては、刑法235条の「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」に抵触し、窃盗罪で逮捕される可能性があります。
- 許可なくコンセント使用することは「電気の窃盗」に当たる
- 電気の窃盗罪で、書類送検となったケースや訴えられたケースも発生している
- 電気の窃盗防止には、コンセントに専用器具でカバーすると効果的
電気は現代の快適な暮らしには不可欠であり、家電製品はキッチンから掃除・洗濯・娯楽まであらゆる分野において暮らしを支えています。その分、電力需要も増えて電気代も気にかかるかもしれません。夏場や冬場の電力需要が増える時には電気代もかさんでしまうため、携帯端末などは外出先で充電を行ってしまおうというような気持になってしまう事もあるかもしれません。しかし、電気の無断使用は犯罪という事を忘れないように気をつけて行動しましょう。
自宅の電気代の節約を意識しているのであれば電力会社の変更をお勧めします。電気代の節約には、ライフスタイルにあった電力プランを選ぶことが重要です。一括比較サイトで、現在の電気代と電力会社を変更した場合の電気代の比較を行ってみてはいかがでしょうか。今よりも安く利用できる電力会社が見つかるかもしれません。ぜひ、一度試してみましょう。