暖房器具にはさまざまなものがありますが、そのなかでもオイルヒーターは住環境を悪化させにくいという利点があります。ただ、やはり電気代は気になります。そこで、今回の記事ではオイルヒーターのメリット・デメリットの説明とともに、オイルヒーターの電気代について解説します。
目次
オイルヒーターを使用するメリットとは
オイルヒーターのメリットは4つあります。
安全性が高い
オイルヒーターは燃えにくい性質を持つ油を電熱器で暖めて熱源にするため、ガスストーブや石油ストーブなどと違い燃焼を伴いません。つまり、やけどや火災の危険性が低いということです。ただし、すぐ近くで温まり続けると低温やけどになる可能性があるので注意しましょう。
空気を汚さない
燃焼がないため、二酸化炭素や一酸化炭素が発生しません。また、ファンを回して空気を対流させるのではなく、熱で空気を温めて自然に対流させるので、ほこりや花粉を巻き上げず、アレルギーを持つ人や幼児がいても安心して使えます。そして、空気を汚さないだけでなく、ファンがないから空気が乾燥しにくいというのも嬉しい点です。
運転音が静か
燃焼音もファンの駆動音もなく、音はまったく気になりません。赤ちゃんが寝ていても起こすことはないでしょう。1つ目・2つ目の利点と合わせて、小さなお子さんがいるご家庭と相性が良い暖房器具です。
メンテナンスに手間がかからない
熱源となる内部の油は取り換える必要がありませんし、フィルターもないので掃除は表面を拭くだけで済みます。面倒なフィルター掃除をさぼったせいで故障したり、電気代が高くなったりするといったことがありません。
オイルヒーターを使用するデメリットとは
もちろん、メリットばかりではなくデメリットもあります。
電気代が高くなりやすい
オイルヒーターの電気代がなぜ高くなってしまうのかというと、電力の変換効率が悪いからです。電気暖房器具は電力を熱エネルギーに変換して部屋を暖めるのですが、ヒートポンプ(電力で生み出した熱だけでなく、空気中から集めた熱も利用する仕組み)を搭載している暖房器具は、消費電力以上の熱エネルギーを生み出すことができます。
しかし、オイルヒーターには構造上ヒートポンプを組み込むことができないため、電力から変換した熱エネルギーしかありません。要するに、オイルヒーターの変換効率が悪いというよりは、ヒートポンプを搭載した暖房器具に比べて相対的に効率が悪いということです。
暖まるまでに時間がかかる
オイルヒーターは暖まるまでに時間がかかります。これはファンが付いていないことが原因です。ストーブやエアコンなどの暖房器具は、ファンを回して風を送ることにより短時間で部屋を暖められるのですが、オイルヒーターにはファンが付いていないから自然に熱が広がるのを待たないといけません。先述したように、ファンが付いていないということは空気を汚さないなどのメリットになる一方で、部屋を暖めるという点においてはデメリットになってしまうのです。
オイルヒーターの電気代は高い?相場をチェック
ここでは、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価」に従い、1kWhあたりの電気料金を27円で計算します。
オイルヒーターの1時間あたりの消費電力は、8~10畳だと最大で1.2kW、10~13畳だと1.5kWの製品がほとんどです。1日8時間×30日利用したとすると、消費電力が1.2kWのオイルヒーターの1カ月の電気代は7,776円となります。1.5kWなら9,720円です。
この電気代が高いのかどうかを確かめるために、他の電気暖房器具と比較してみます。電気ストーブなどのヒートポンプがない暖房器具はオイルヒーターとあまり変わらないので、ヒートポンプもファンも付いているエアコンの電気代を計算します。
1時間当たりの消費電力の目安は8~10畳で0.6kWほど、10~13畳で0.9kWほどの製品が多く、1カ月の電気代は0.6kWだと3,888円、0.9kWだと5,832円です。
オイルヒーターの電気代を最大電力で計算したのは、オイルヒーターには室温に合わせて自動で出力を調節する機能を持たない製品が多く、手動で調節することになるため、人によって消費電力が大きく変わるからです。調節機能が付いている製品を利用する、もしくは自分で適切に調節すれば電気代はもう少し安くなるでしょう。
したがって、実際のオイルヒーターの電気代は個人差が大きいのですが、ヒートポンプとファンによって効率的に短時間で暖められるエアコンと、ヒートポンプがないうえに、暖めるのに時間がかかるオイルヒーターでは、オイルヒーターの電気代のほうが高いというのが一般的です。
オイルヒーターにかかる電気代を抑えるコツとは
少しでも電気代を抑えるために、いくつかのコツを押さえておきましょう。
気密性の高い部屋で利用する
エアコンなら冷気が入って来ても温風を送ることですぐに暖められますが、オイルヒーターだと時間がかかってしまいます。つまり、オイルヒーターは気密性の低い部屋には向いていないのです。リビングなどの人が頻繁に出入りする部屋よりも、寝室などの出入りの少ない部屋で利用しましょう。
窓際・壁際に設置する
オイルヒーターは窓際に置くと効率的に暖められます。窓は冷気が入って来やすいので、窓から離しておくとオイルヒーターの熱と窓からの冷気が混ざり、温度のムラによって効率が落ちてしまいますが、窓際に置けばオイルヒーターの熱が冷気を退けて室内を均一に暖められるからです。他にも、窓に断熱シートを貼ったり、カーテンを断熱カーテンに替えたりすることで窓からの冷気を防ぐのも有効です。
他の暖房器具と併用する
部屋を暖める時間が長く、消費電力量が大きくなるという弱点を補うために、他の暖房器具と併用しましょう。速く暖めることができるセラミックヒーターやエアコンで一気に部屋全体を暖めてから、室温が下がるのを防ぐためにオイルヒーターを利用すると、オイルヒーターでも消費する電力量は少なくて済みます。また、サーキュレーターで空気を対流させるのも有効です。ちなみに、オイルヒーターは電源を切った後も余熱があるので、寝る直前ではなく早めに切ってしまったほうが電気代を抑えられます。
電気代が高いと感じたら… プランを見直そう
オイルヒーターは人に優しい暖房器具ではありますが、電気代が高い、暖まるのが遅いといったデメリットもあります。電気代を抑えるためには効率よく暖めるための工夫が必要です。また、電気料金のプランを見直すという手もあります。月の電気使用量にもよりますが、持ち家で戸建の方は電力会社を変更することで平均1万円安くなったというアンケート結果もあります(2017年自社アンケート)。オイルヒーターを使っていて電気代が高いと感じる人は、電力会社のプランを比較してみると良いでしょう。
この記事のまとめ
オイルヒーターは安全性が高い、空気を汚さないなどのメリットがありますが、電気代が高くなりやすいというデメリットを抱えています。オイルヒーターの電気代を抑えるには3つのポイントが大切です。
- 気密性の高い部屋で利用する
- 窓際・壁際に設置する
- 他の暖房器具と併用する
また、電力会社を見直すこともおすすめの方法です。電力会社の比較は比較サイトを利用すると便利です。当サイトでも電力会社の比較サービスを提供しているのでぜひご利用ください。