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電気代節約の豆知識

移動式エアコンの電気代はどのくらい?

工事が不要で移動が可能な移動式エアコン(スポットクーラー)は手軽に利用できるため気になったことがあるという人もいると思います。コンパクトでキャスター付きのものも多く販売されており、設置場所を選ばないという点も便利なエアコンですよね。そのような移動式エアコンの電気代はどのくらいなのでしょう?通常のルームエアコンと比較するとどのくらい違うのか確認してみましょう。

移動式エアコン(スポットクーラー)は、家庭用と業務用とありますがここでは家庭用に販売されている移動式エアコンについて紹介します。

移動式エアコン(スポットクーラー)とは?

移動式エアコン(スポットクーラー)は、家庭用のエアコンと同様の原理で作られていますが、室外に取り付ける室外機がなく移動式のため持ち運びが自由な手軽さがあります。キャスターや取っ手がついているものも多く電圧は家庭用のコンセントに対応した100V程度のものが一般的で設置場所を選ばないという容易さがあります。家庭用の小型のクーラーでは、卓上に設置できるサイズの小さいものから6畳程度の部屋に対応するものまで多くの種類が販売されています。

移動式エアコン(スポットクーラー)の特徴
  • 室外機がない
  • 100Vの家庭用コンセントに対応
  • 冷房機能は0.7kW~2.0kW程度
  • コンパクトで持ち運びが可能
移動式エアコン(スポットクーラー)とルームエアコンの違い

ルームエアコンと移動式のエアコンは吸い込んだ空気を本体内部で冷却して冷たい空気を送風するという原理は同じです。違いは熱の処理方法にあります。ルームエアコンは室外機と繋がっており、冷房機能を使用する時には、室外機が室内の空気を取り込んでその空気から熱を取り除くことでエアコンは冷たい空気を室内に出す仕組みとなっています。一方、移動式エアコン(スポットクーラー)は、室外機がなく室内機の役目は本体が全てになっているため排熱も本体の排気口から排出されます。

パーソナルクーラーとの違い

最近では、卓上に設置できるサイズの小さい「パーソナルクーラー」も種類豊富に比較的安価な価格で販売されています。実は、これらは、移動式エアコン(スポットクーラー)と呼ばれるものとは異なり、その多くは「冷風扇」の扱いになるものがほとんどです。水が蒸発する時にまわりの空気の熱を奪う「気化熱現象」を利用して冷えた空気を作っているので本体から暖かい空気の排熱はありません。

移動式エアコン(スポットクーラー)の電気代はいくら?

移動式エアコンの電気代はどのくらいでしょうか?ルームエアコンの電気代と比較してみましょう。

まずは、電気代の計算方法ですが、電気代は下記計算式で求めることができます。

電気代(円)= 消費電力(W)÷1000×使用時間(h)×1kWhあたりの電気料金(円/kWh)

ここでは、電気料金を1kWhあたり27円として計算します。(全国家庭電気製品公正取引協議会新電力料金目安単価より)

ルームエアコンと移動式エアコンの電気代比較

ルームエアコンは、経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ型製品情報サイト」に登録された主な製品を区分ごとに掲載した省エネ性能カタログ電子版(2021年7月1日版)の冷房機能2.2kW(6~9畳)寸法規定のエアコンからダイキン工業のうるさらX(型番:S22YTRXS)を例にして計算します。

移動式エアコン(スポットクーラー)はアイリスオーヤマのポータブルクーラー(型番:IPP2221G)冷風能力2.0/2.2kW(4.5~7畳)を例にして計算します。この移動式エアコンは冷風専用です。

ダイキン工業「うるさらX(型番:S22YTRXS)」冷房運転時の電気代
ダイキン工業「うるさらX(型番:S22YTRXS)」
冷房:消費電力(W) 425W
冷房期間消費電力量(kWh) 167kWh
1時間使用した時の電気代 11円47銭
1日3時間使用した場合の電気代 34円41銭
1日3時間1か月(30日)使用した場合の電気代 1,032円30銭

エアコンには、インバーターがあるため、稼働時が一番電力を使います。エアコンは、設定温度に達した後に電気代は下がっていくことになります。電気代は目安として考えましょう。

アイリスオーヤマ「ポータブルクーラー(型番:IPP2221G)」
アイリスオーヤマ「ポータブルクーラー(型番:IPP2221G)」
消費電力 490/600W
1時間使用した時の電気代 16円20銭
1日3時間使用した場合の電気代 48円60銭
1日3時間1か月(30日)使用した場合の電気代 1,458円00銭

消費電力は600Wで電気代を計算しています。

移動式エアコンの電気代は高い!?

ダイキン工業のルームエアコンとアイリスオーヤマの移動式エアコンで電気代の比較を行ったところ、電気代は移動式エアコン(スポットクーラー)の方が高くなるという事が分かりました。更にルームエアコンはインバーターがあるため稼働時の部屋の温度を設定温度にする時が一番電力を使います。ルームエアコンは外気温と設定温度の差が大きい程、電力消費量は増加し、設定温度になれば電力消費量は下がっていきます。

しかし、移動式エアコン(スポットクーラー)は、ルームエアコンに比べて部屋全体を冷やす能力は小さく部屋全体の温度を下げるには時間がかかる場合が多いです。電力消費も移動式エアコンの方が大きくルームエアコンに比べて部屋が涼しくなり辛いとすると同じような使い方をしていれば電気代の差はより開いていくでしょう。

ダイキン工業 アイリスオーヤマ
電気代:1h/日 11円47銭 16円20銭
電気代:3h/日 34円41銭 48円60銭
電気代:3h/日×30日 1,032.30銭 1,458円00銭

移動式エアコン(スポットクーラー)のメリット・デメリット

移動式エアコン(スポットクーラー)はエアコンが取り付けられないような場所に利用できると言う点が大きなメリットです。移動式エアコンの特徴で考えてもあくまでも部屋の一部「スポット」を冷やすためとして利用すると便利です。

移動式エアコンの排熱は本体から排出されるため締め切った部屋で使用すると排出された熱が部屋にこもったままとなり涼しい風を出していても部屋は涼しくなりません。夏場にガレージや屋内の作業場などで使用する時には問題ありませんが、締め切った部屋で使用する場合には、排気用のダクトホースを繋げて部屋の排気口から排熱を放出します。

移動式エアコンは内部で水(ドレン水)が発生するため定期的な清掃が必要です。しかし「ノンドレン方式」の移動式エアコンも販売されており、清掃が面倒だという人はノンドレン方式の移動式エアコンを選べば清掃の手間を軽減することができます。

また、設置スペースを考慮する必要があります。移動式エアコンはコンプレッサーを使用していることもあり比較的サイズが大きいです。購入する時には設置スペースに注意しましょう。

メリット
  • 取付工事が不要
  • エアコンの取付が困難な部屋でも設置可能
  • 移動式のため持ち運びができる
  • スポットを冷やすことに適している
デメリット
  • 部屋全体の冷却には不向きである
  • 締め切った室内での使用にはダクトホースをつなげる必要がある
  • 本体価格が高価である(エアコンに比べ安価だが4万~5万円程度と高価)
  • 本体が大きい
  • 広範囲を冷やしたり長時間の利用は電気代が高くなる

電力会社を変更して電気代を安くするという方法も取り入れよう

日本の夏はエアコンなしで過ごすのは熱中症の危険もあるほど猛暑ですから、エアコンを設置できない部屋に移動式エアコン(スポットクーラー)の設置を検討した人もいるでしょう。そういった部屋に移動式エアコン(スポットクーラー)は便利ですが、移動式エアコンはあくまでも「スポット」を冷やすことに適した製品のため部屋全体を冷やしたり長時間の利用には電気代が心配です。そういった時には電力会社や電気プランを見直して現在契約している電力会社よりも電力料金単価が安い電気プランを選び家庭の電気代全体を下げるという方法があります。

2016年4月にスタートした電力小売全面自由化により一般家庭でも電力会社や電気プランは自由に選択できるようになり、それに伴って新しい電気プランも増え、電力販売に参入する事業者も増えました。電力市場の競争が激化したことによってこれまで契約していたプランよりも電力会社や電気プランを変更して電気代が安くなるというケースが増えています。

ルームエアコンにしてもその他の冷風機器に頼る事の多い夏の暑い時期には電気代が気になるものです。電化製品の使用が増える夏場は電気プランの見直しも検討してみるとよいでしょう。

この記事のまとめ

移動式エアコン(スポットクーラー)の電気代はルームエアコンと同じ使い方をすると高くなります。移動式エアコン(スポットクーラー)はあくまでも「スポット」を涼しくするために使用する用途として使うとよいでしょう。

  • 移動式エアコンは室外機がなく本体と室外機が一体となった移動式のエアコン
  • 移動式のエアコンは部屋全体を冷やすことには不向き
  • 移動式エアコンの消費電力はルームエアコンより高い

移動式エアコンは室外機と本体が一体型となったようなエアコンですが、排熱は本体から排出されるため部屋の排熱口とダクトホースで繋げ排熱の処理を行う必要があります。持ち運びが自由でキャスターや取っ手がついているものもあり好きな時に自由に持ち運べるイメージで購入を検討したという人もいるかもしません。「クーラー」という名称でさまざまな商品が販売されているのでその違いを一度に把握するのは難しいですが、購入する前には製品の仕様を確認して失敗がないようにしましょう。

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