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製造業の工場は電力消費が多い!電気代を削減するにはどうしたらいい?

2022年5月25日

電気代は、製造業の工場を運営するうえでの出費項目の中で大きな割合を占めています。そのため、電気代を低く抑えることができるならば経費削減になるので、製造原価を下げることになります。つまり、電気代の見直しが利益アップの実現に役立つのです。そこでこの記事では、電気代を削減する効果的な方法について分かりやすく具体的に説明します。

工場の電力消費量はとても多い!

工場を稼働させるためには、いったいどのようなところで電力が消費されているのでしょうか。まずは、電力が使われる機器の代表として、照明や空調設備が挙げられます。工場が有する面積は広いため、施設内を明るく照らしたり、適切な温度に整えたりする設備に多くの電力供給が必要であることは想像に容易いことでしょう。次に、生産ラインに必要な機器類です。加工機やロボットなどがこれにあたります。さらに、搬送機器も工場の必需品です。ベルトコンベアーや昇降機、無人搬送車など、さまざまな搬送機器が使われています。また、業種によってはクリーンルームや電気炉、冷蔵冷凍設備など、とにかく電力で稼働させる機器が多いのです。

一般家庭(集合住宅)での年間電気使用量は、2000~4000kWh未満が一番多いパターンです。一方、工場の電気使用量ですが、小売電気事業者や電力会社のWebサイトに載っている例を参考にすると、低圧電力の契約で間に合う小規模な工場ですら1カ月の電気使用量はおよそ1万kWhに及んでいます。高圧電力が必要な規模の工場になると、1カ月で10万kWhという例もあります。シリコン製造業は電力の使用量が多いことで知られていますが、この業種だけに限定した年間電力使用量を見てみると約60憶kWhです。このように、製造業の工場は一般的に電気代が高額になる傾向にあることが分かります。

高圧電力の電気代ってどう決まる?

高圧の電気を利用しているような工場であっても電気代の計算は一般家庭とあまり変わりません。

電気料金の計算式

A.基本料金 基本料金単価 [円/kW]× 契約電力[kW] × (185 - 力率)/100
B.電力量料金 (電力量料金単価 [円/kWh]× 使用電力量[kWh])±( 燃料費調整額[円/kWh]×使用電力量[kWh])
C.再生可能エネルギー発電促進賦課金 再生可能エネルギー発電促進賦課金[円/kWh] × 使用電力量[kWh]
合計 A + B + C

力率(%)は、電力を供給した際の電流の有効電力(実際に消費された電力)を示す割合です。高圧の電力を使用している工場などでは、電気設備や機械を多く利用するため電気料金に大きく影響する指標になります。

製造業の工場で電気代を削減する方法

同じ製造業の工場でも、業種によって工場内の設備にも違いがあります。この段落では、業種の違いに関わらず、どの工場でも実施できる電気代の削減方法を説明します。

空調の効率をよくする

空調の効率アップに着目すると、電気代の節約につながります。工場の作業効率も、生産性を高めるためにはもちろん大切な要素です。しかし、作業効率を重要視するあまり、工場の出入り口が開放されたままになっていないでしょうか。出入り口にビニールカーテンを付けると空調の効き目がアップします。天井が高かったり、面積が広かったりする工場では、作業員が働いているエリアにターゲットを絞ってビニールカーテンを取り付けましょう。空調を働かせるエリアを限定すると、必要な電力も抑えることができます。

そのほかの方法としては、空調の室外機周辺から障害物を取り除き、よしずなどを使って直射日光を避けることでも節電効果が期待できます。また、電熱シートや断熱塗料の導入で、電気炉や電気加熱装置をはじめとする工場の断熱性を高めると、空調にかかる費用を低く抑えることが可能です。

空調機の設定温度(目安)

□夏場・・・「クールビズ」:28度
  冷房の設定温度を1度高くする・・・約13%の消費電力の削減

□冬場・・・「ウォームビズ」:20度
  暖房の設定温度を1度低くする・・・約10%の消費電力の削減

空調機にかかる電気代を節約方法

  1. 空調機の温度設定を適切な温度に保つ
  2. 定期的なメンテナンスを忘れない
  3. 工場内での体感温度の調節は服装で行うようにする
  4. 扇風機やサーキュレーターを使用し空気を循環させる
  5. 社員の節電意識を共有する

工場などの施設では、機械を多く動かしているような状況で空調機器の節電を意識することは難しいかもしれません。しかし、工夫することで快適な作業場でありながら電気代を節約することも可能になるかもしれません。

機器のメンテナンスをきちんと行う

工場内にある機器類のメンテナンスも重要です。生産設備機器のメンテナンスを定期的におこなうと、コンディションをよい状態にキープできます。機器類を効率的に稼働させることが可能になるためです。油を取り扱う工場や食品関係の工場では、とくに留意したほうがよいでしょう。機器類に油汚れが付きやすい環境にあるので、気づかぬうちに稼働率がダウンしている恐れがあります。メンテナンスをおこなうためには手間やコストがかかります。しかし、効率よく稼働するようになると、電気代の削減が可能です。そのうえ、メンテナンスで機器類にかかっていた負荷を軽減できれば、故障の回避にもつながります。長い目で見ると、2つの面からのメリットがあるということです。

照明をLEDに変更する

工場にある照明機器の見直しも電気代節約の方法になります。夜間も稼働しているような工場や精密機械を扱うようなところでは昼間でも全て照明の明かりに頼って作業をしているような工場もあるでしょう。そこで照明器具を蛍光灯からLEDに変えるという方法も電気代の節約として考えてみましょう。たとえば、60Wの白熱灯を電球型蛍光ランプに交換した場合、その照明あたりの節電効果は76%になります。白熱灯をLED照明に替えたケースでは85%の削減です。そのうえ、LED照明は寿命が長いため、電気の交換を頻繁におこなう必要もありません。広い施設では、電気代のみならず、メンテナンス費用も節約に繋げられるかもしれません。

電力会社を切り替えてみる

電力の小売が全面自由化になり、電気会社がさまざまなサービスを提供するようになりました。そのため、電力会社を変更することでも、電気代の基本料金を下げることが可能な場合もあります。切り替えによる削減率はケースバイケースですが、たとえば、契約電力や使用量が同じ工場で比較すると、A社では電気代の基本料金が約1281円で、B社では約1897円ということがあります。つまりは切り替えにより基本料金を30%ほどカットできることもあるということです。電力小売が自由化されたといっても、電力の供給という部門においては原則変更はありません。たとえ大手の電力会社から新しく参入した新会社に変更しても、電力のクオリティーや安定性については今まで通りなので安心です。

製造業などの工場では、電力消費は経済活動に欠かせません。そのため電気代の経費は担当者にとって気になるところでしょう。工場などの設備では必要不可欠な電力消費ですが定期的に電力会社や電気プランの見直しを行い、最適なプランに随時変更していくことで電気代節約は可能です。どこの電力会社に変更すると一番電気代コストの削減につながるかを確認するには、一括見積もりサイトなどを利用すると便利です。たくさんの電力会社に問い合わせを行って見積もり依頼をするという担当者の手間も省けます。

※現在、一括見積もりの申し込み停止中です。

電気使用量の「見える化」や補助金の利用

製造業などの工場では、電力消費量の「見える化」を行う事が大切です。工場の稼働と電力消費は大きく関わっているような業種も多いので、製品の製造が多くなれば電気代も高くなるという工場もあるでしょう。製品を多く作っているような業種では、電気代の増加が製品の売り上げに関わっていることもあるかもしれません。そのような業種では、可能な限り製造コストとなる電気代を安く抑えれば製品の利益率も高くなるでしょう。そのためには、電気使用量を「見える化」することによって「どこがいつ電気を多く使っているか」が分かるため、無駄な消費部分を見つける事ができるかもしれません。無駄な消費部分を見つける事ができて改善できれば「ものづくり」の効率化にも役立てる事ができそうです。

また、工場の設備を省エネ設備に変更する事で電気代は大幅に節約できるでしょう。しかし、多くの事業者にとってなかなか既存設備を省エネ設備に変更するという事は費用がかかることで難しいです。ですが、省エネ設備への切り替えや導入を考えている人は国の補助金制度を利用できる場合があります。省エネ設備導入に関わる国の支援があるかどうか確認してみましょう。工場などへの省エネ設備の導入は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」によって推進されている政策です。工場の設備を新しくするというのはとても大きな投資になります。現実的ではないと考えていた人も補助金を利用して省エネ設備の導入に目を向けてみるといいでしょう。

この記事のまとめ

製造業をはじめとした工場の稼働に必要な電気は製品を製造するためには欠かせません。電気を使う工場ほど電気代コストはきになるところでしょう。電気の節約が難しいような事業所でも工夫することで電気代を減らすことは可能です。大きな施設が電気代の節約変化を大きく感じられる方法は電力会社の変更です。定期的に電力会社や電気プランの見直しを行い最適な電気プランを選択することで電気代コストを下げられる可能性があります。

  • 工場の電力消費量はとても大きく、力率の割合は電気代に大きく影響する
  • 工場でも工夫することで電気代の節約は可能
  • 工場などは電力会社や電気プランを見直すことで大幅な電気代カットができる可能性がある

モノを売ることが年々難しくなっている中、人件費は上昇し、原材料費も高騰しています。そのうえ、価格競争は激しさを見せているため、製造工場を取り巻く環境の厳しさは収まりそうもありません。ですから、まずは電気料金の見直しを根本からおこなえばコストカットにもつながり、利益アップの方向へ進んでいくのではないでしょうか。高圧の電気を利用しているような工場は一括見積もりサイトを利用すると一度に数社の電力会社から見積もりを取得することができるので便利です。ぜひ、利用してみましょう。

■高圧:https://denki.insweb.co.jp/houjin
※現在、申し込み停止中です。

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